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シシャゴニュウ

シシャゴニュウ

登場人物
　白川（女）:天真爛漫なトラブルメーカー
　福井（女）:おっとりしている三人の良心
　下村（男）:白川に厳しいツッコミ役

本文

　喫茶店で男女三人が座って注文している。

下村　　俺、アイスコーヒー無糖で。
白川　　私はこの“ドロリ濃厚フレッシュストロベリーチョコレートブラウニーキャラメルクリームフラペチーノ”を氷抜きで！
福井　　あ。私も同じのでお願いします。

　店員が去るのを見届ける。（マイム）

下村　　さて、これから今日の反省会を始めようか。
白川　　反省会って私たちだけで？
下村　　それは主に反省点があるのはお前だからだよ白川ぁ！
白川　　ひええ……。ごめんなさい下村様ー。
福井　　まあまあ、私も付き合うから、ね？
白川　　うう……。ありがとね。
下村　　ま、素直でよろしい。でも科学のビックサイトまであと一カ月も無いんだから、ちゃんとこれから言う反省点は直せよ？
白川　　そっか、もう一カ月も無いんだ……。昔幼馴染の私たち三人皆で行こうって約束したよね。
福井　　本当、なんだか懐かしい。
下村　　……。

　三人とも感慨に浸るが、一番に我に返った下村は白川に（だからちゃんとやれ）と無言のプレッシャーを掛ける

白川　　だ、大丈夫。はいはいちゃんと反省点を直しますって！
下村　　はいは一回。
福井　　下村くん、少し大目に見てあげても……。
下村　　まずお前、計算は早く正確に出来ている。そこは長所だと思う。
白川　　ほんと？私、第六感がずば抜けてるってよく言われるんだよねー。
福井　　あれ？ちゃんと計算してたわけじゃないの……？
下村　　でも有効数字を出すのだけはやたら遅い。もっと計算問題を解いて慣らしておけ。
白川　　わかってるよー。でも有効数字を出すための四捨五入をしているときについつい考え事をしちゃって……。
福井　　考え事？
白川　　うーん、例えば149,999……って数字を十の位で四捨五入すると100になるじゃん？
下村　　それがどうした？
白川　　なんていうかさ、50に限りなく近いのに切り捨てられちゃった49,999……の数字のことを考えるとやりきれないなーって。
福井　　あ、その気持ち分かるかも。
白川　　そう、そんな感じ！
下村　　……なるほど分からん。
白川　　え、下村は分からないの？
下村　　そんな感情持ってても無駄だろ。これでも俺は本気でこの科学のビックサイトに掛けているんだ。
白川　　そっか、下村、医学部の推薦目指しているもんね。
福井　　でも下村くん、無理しすぎはダメだよ……。
下村　　他人事みたいな言い方するなよ。……お前だって薬剤師目指して頑張ってること知ってるし。
福井　　え？瑛子ちゃん、薬剤師目指してたんだ？初耳だな。
白川　　まあねー。……ずーっと一緒だった私たちももうすぐ離れ離れか。寂しくなるねー。
下村　　……。
白川　　昔みたいに三人で遊んだりイタズラしたり、もうできないよね。
下村　　さらっとイタズラに俺を組み込むな。お前は大学生になってもガチャポンのカプセルで爆弾作ろうとしたり俺のコーラにメントスを入れたりするつもりなのか。
福井　　本当に昔っから危なっかしいんだから……。
白川　　もう本当にシャレにならない事はやらないって！小さい頃はともかく今はちゃんと危ないこともその原理もわかってるから！
下村　　その言い方だと洒落ですむ程度のイタズラはやるように聞こえるが……。
白川　　ちっ、ばれたか……。
下村　　“ちっ”じゃねーよ！！

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