焼肉女王
【焼肉女王】
A: ただいまより、第334回四五百の森(よいほのもり)振興会会議を始める。
本日の議題は……「増えすぎたメイドさんをどうするか」という事だ。
B: …あぁ、例の焼肉王女の話ですか。
A: そう…。彼女たちのおかげで確かに四五百の森は有名になった。
メイドさん達は何でもできる。
焼いても美味しい、煮ても美味しい、加工技術だって整っている。
B: そうですね。メイドさん達のバイタリティは本当に凄い。
A: し!か!し!それでも誰も四五百の森の位置を知らないし、誰も四五百の森が「し・ご・ひゃく」という漢字を書くという事を知らないのだ。
B: 寄って行ってくれた旅人さん達は、メイドさん達のご奉仕に満足してるみたいですけどね。
自分も受けてみたいなぁ。…まぁ、メイドさんたちにご奉仕して貰うと、財布の中が空っぽになっちゃうんで無理なのですが。
まぁでも、人が来ないよりいいじゃないですか。昔は誰も、「四五百の森」という地名を知らなかった。
A: あぁ、確かにそうだ。誰も「四五百」の正しい読み方を知らなかった。
だがしかし、今、四五百の森の魅力は忘れ去られていると思うのだ。
昔、昔、四五百の森は綺麗な松並木でできていた。
B: そうですね。そこに畑を作って、街を作って、王宮を作って、皆が商売を初めて。
誰もここを知らなかったですが、確かに幸せだった。
たまにふらりと立ち寄ってくれた旅人さんも、満足して帰って行きましたしね。
覚えていますか、西から来た旅人さんが王宮の美しさに惚れて小説にその美しさを書き残した事を。
A: いたなぁ。紅茶の好きな若者だった。
B: 確か、あのタイトルは「檸檬」でしたっけ。
……メイドさんって、料理にレモン汁かけてくれますよね。
A: お前はどれだけメイドさんに毒されているんだ!
このままだと、「四五百の森」が完全にメイドさんだけのものになってしまうんだぞ!
B: っていっても、四五百の森は何だかんだでメイドさんの聖地として有名ですよ。
他のものをPRしていくとしても、何がありますか。
A: マコモタケ
B: …はい?
A: マコモタケ。食物繊維が多く、町内の老廃物を取り除く効果が期待できる、低カロリーな野菜だ!
B: (割って)メジャーなものでお願いします。
A: そんな…マコモタケは美味しいんだぞ?炊いても蒸しても炒めても揚げても美味しい…
B: (割って)メジャーって言いましたよね。
A: ぐぬぬ…わかった。わかった。四五百の森のすべてがマコモタケに集約されているなんて思ってはいない。
まだ他にもPRできるものはある!
B: ですよね!それは何ですか!
A: そう、我々は今こそ、モロヘイヤをPRするべきなのだ!
B: …確かにマコモタケよりはメジャーですね。
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