焼肉魔王
〜もやしを一味唐辛子とマヨネーズで和えたもの〜
「焼肉魔王」

少年:   決めた・・・。俺、魔王になる。

SE:   登場音

少年:   ・・・って言ってみたものの、魔王ってどうやってなるんだ?
    そもそも、魔王ってどういう肩書きなんだろう。
    「エルフ」や「ドワーフ」のような種属名?
    勇者や賢者みたいな職業?
    仮に職業であったとしよう。
    それなら、きっとハローワークに行けば俺も魔王に・・・・。

    なれるわけないじゃん!!

    リストラされた中年男性が魔王にジョブチェンジしたなんて、俺の人生で一度たりとも聞いたことがないし、きっとこれからも聞くことはない。
    それに、俺は魔王になる!「(小声で)予定の」選ばれし者だ。
    何かのきっかけさえあればきっと、魔王に覚醒するに違いない。
    問題はそのきっかけだな。
    RPGゲームだと、特殊なジョブに転職するには、相応のレベルと相応のアイテムが必要であり、かつ、転職の儀が必要と相場は決まっている。
    とりあえず、転職条件を明らかにしないとな。
    よし、ちょっと調べてみるか。

    『魔王』。『転職』っと・・・。(SE:タイプ音)

    うわ…飲食バイトの求人ばっか出てくる。
    「焼肉魔王」自給800円だぁ・・・?
    誰がそんな薄給バイトやるかよ。
   
    そんな重労働、俺様にはふさわしくない!

    そう、俺は…俺は…魔王になったら…
    古今東西 往来古今 金銀財宝 酒池肉林
    この世のありとあらゆるものを、この俺様の手にするのだ。
    そして…ぐふふ…

    (妄想)
    女:   魔王様ーv
    魔王:   おぉ、どうした?俺様に何か用か?
    女:   あの…私、魔王様のためにごちそう作ったんですぅ。
        食べていただけますか?
    魔王:   ふむ。これはうまそうだ。
        だが、お主、俺様の手を煩わせるつもりか?
    女:   そんなわけないですよv精一杯ご奉仕しますv
        はい、あーん・・・

    (現実)
    あーん…ふふふ…腕をあげたな…ぐふ… ん?
    そうか!わかったぞ!食事、食事だ!!
    魔王になるためには、魔王にふさわしい体づくり、レベルアップが必要!
    そのための第一歩は…ククク…闇の食材を食することだ!

    では闇の食材とは…んー…不健康な食事?
    だが、ジャンクフードを食したところで、誰ひとり魔族化していない。
    人間のままじゃないか。
    もっと…もっと闇に染まった食材が必要だ。


    逆に考えてみよう。「光の食材」とは何か。
    光といえば…太陽…太陽をいっぱいに浴びた…野菜?
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