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素晴らしきノスタルジア

　　　　　　暗転している。波の音、そして人々のはしゃいでいる声。ここは海、浜辺。

太郎　あれ？　雨だ
　　
　　　　　　の声と共に徐々に雨が降り始め、一気に雨が降る。はしゃぎの声は若干の悲
　　　　　　鳴を含む、人々が急いで荷物を片付けている声に変わる。

和馬　急げ！　濡れたらダメなものから片づけろ！
菜月　ねえ、これどうしたらいい？
和馬　それはあと！
菜月　でもこれ濡れたら……。
和馬　いいの！
佳歩　和馬君、やばいって。
和馬　わかってるから急げ！
佳歩　え、わかってないよ。
和馬　わかってるって！　太郎、その浮き輪、空気抜いてくれ！
太郎　今じゃなくていいでしょ。
和馬　じゃあどうやって運ぶんだよ！
太郎　こんなもんほっぽって、さっさと逃げようよ。
和馬　え？

　　　　　　雨の勢いが増す。

栗田　和馬、ちょっとやばくね？
和馬　なにが？
栗田　この雨。
和馬　だからそういってんだろ！
栗田　いや、でもよ……。
和馬　え？
栗田　これは、駄目だろ。

　　　　　　その瞬間、雷が落ちる。全員の悲鳴と共に雨の勢いはさらに増す。

太郎　逃げよう。
佳歩　うん。
和馬　ダメだ！　荷物が流されるだろ！
佳歩　でも！
和馬　でもじゃない！
菜月　和馬君、これはどうすればいい？
和馬　だからそんなのはあとでいいって！
菜月　でもでも、わかんないよ！
和馬　いいから言われた通りやれよ！
栗田　(叫ぶ)和馬ぁ！
和馬　なんだよ！
栗田　逃げろぉ！
和馬　え？
菜月・佳歩　(悲鳴をあげる)
太郎　はしれぇ！

　　　　　　その瞬間大きな波の音。
　　　　　　暫くして。

和馬　無事か？
栗田　全員無事だよ。
和馬　よかった……。
菜月　全部流れちゃったぁ……。
和馬　死ぬよりはましだろ！

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