ウシミツビト
「ウシミツビト」
「キャスト」
須田 仁朗(♂) 二十三 除霊師
那和 麻心(♀) 二十一 女子大生
新橋 楓(♀) 二十 専門学生
▼零場―prologue―
舞台は病室。ぽつんと舞台中央にベッドが一台置かれている。
上手側に入り口、下手側が窓になっている。
心電図の音が聞こえている。
楓が病室のベッドに語りかける
楓 「真っ白い天井、真っ白い壁、真っ白い空気。
太陽の光を返して、まっ白かった部屋。
いつのまにやら月明かりが落ちて、ぼんやり滲んだ深海の色。
こぼれた夜灯に照らされた、あなたの顔は蒼白で。
あなたは眠っていました。
電気はつけません。
あなたの穏やかな世界に、冷たい白い光を灯してしまわぬように。」
心電図の音が鳴っている。
楓 「機械的な音。――――(心電図の音を聞いて)アルミニウムの味の音。
でも、確かに、真ちゃんが生きている証の―――
とくん、とくん、とくん(ト心電図の大に合わせて)
とくん、とくん、とくん!」
楓、次第に自分がやっていることが虚しくなってきて声が次第に大きくなっていく
楓 「とくん! とくん! とくん!!」
一定の音で止まる心電図の音。楓、その音をかき消すようになおも続ける
楓 「とくん!とくん!とくん!!!
(次第に足踏みも交えて)どくん! どくん! どくん!
心電図の音も楓の声をかき消すように大きくなる。楓、それに負けないように
楓 「どくん!どくん!どくん!! どくん! どくん!!!!
どくん!!!!(振り絞って出した音と一緒に、効果音も同時に消える)」
暗転
▼一場―いかれポンチ登場―
しばらく無音の後、再び心電図の音が鳴り響く。
心電図の音は次第に細く変わっていき、やがて花火の打ち上げの音になる。
花火の開く音と共に、明転。舞台上は先ほどと同じ病室。
ぼんやりと、目覚めたばかりのように花火を眺めている
麻心「・・・信夫山。阿武隈川。・・・花火。
(ベッドの上の名前を確認して)・・・綺麗ね、真二郎。」
トベッドの上の誰かに話しかけるようにしている麻心
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