龍馬暗殺異聞

『龍馬暗殺異聞』
                    作=森山智仁



坂本龍馬  海援隊隊長。
中岡慎太郎 陸援隊隊長。坂本とは同郷。

藤吉    坂本の身辺の世話をする少年。

近藤勇   新撰組局長。
土方歳三  新撰組副長。
沖田総司  新撰組一番隊隊長。
高柳楠之助 紀州藩船明光丸船長。
神様    謎の老人。
佐那    千葉道場の娘。坂本の元恋人。
お龍    坂本の妻。




   慶応三年十一月十五日、京都の醤油商「近江屋」の二階。
   坂本龍馬が火鉢に当たりながら鼻をかんでいる。

坂本 あーあ。

   階段を上がってくる足音。

坂本 中岡か。
中岡 (部屋の外からの声)どういてわかったがです?
坂本 足音でな。
中岡 流石は坂本さん。
坂本 入れよ。
中岡 いえ、念の為、合言葉を。
坂本 もうお前だってわかってんじゃねぇか。
中岡 念の為です。
坂本 ……日本の。
中岡 夜明けぜよ。
坂本 どーぞ。
中岡 失礼します。

   襖が開き、中岡慎太郎が現れ、中岡が襖を閉める。

坂本 しかし誰が決めたんだよこの合言葉。俺そんなセリフ言ってねぇよ。
中岡 すっかり江戸弁ですもんね。
坂本 江戸弁っつーのかわかんねぇけどな。日本中かけずり回ってたら自然と訛んなく
   なった。
中岡 ほういうもんですか。
坂本 ったく……。

   鼻をかむ音。

中岡 まだ治らんがですか。
坂本 ああ、まいったよ。峠は越したんだがまだ寒気がな。
中岡 下で藤吉にシャモ鍋用意させてます。
坂本 気が利くじゃねぇか。
中岡 あったまりますきに。
坂本 ありがとな。
中岡 早う治してつかぁさい。
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