女王様の意のままに
アパートの一室。
男と女が向かい合っている。
男、上半身裸で後ろ手に腕を縛られ、首輪をつけている。
女は、黒のボンテージドレスに身を包み、鞭を持っている。
女の様子はどこか自信なさげで、おどおどしているのに対し、男は、何かを期待している様子。
その状態がしばらく続く。
男「さ、お願い」
女、不安に満ちた目で男を見つめている。
男「こっちの準備は、その、いいから」
女「……これ、どうすればいいの?」
男「……俺も、あんまりよくはわからないんだけど」
女「あたしもわかんないよ……」
男「でも、一回やってみたかったんだ……これ」
間。
男「言ったじゃん、誕生日は、なんでもやってくれるって、どんなプレイでもやってくれるって」
女「言った」
男「頼むよ、ちょっとでいいから、……女王様やってよ」
女「でも……どうすればいいかわかんない」
男「とりあえず、えっと、いじめるんだよ」
女「いじめ……?」
男「俺を、こう、ほら、その鞭で」
女「これで……?」
男「こう、ぶつんだよ」
女「ぶつ……?」
男「ほら、それ、振って」
女「ぶつ……」
女、鞭を振り上げる。
男、鞭が当たれるように、体を近づける。
女「えいっ」
女、へっぴり腰で鞭を振り下ろす。
だが勢いが足りず、男の上半身を撫でるだけになってしまう。
男「ふひひっ」
男、くすぐったくて笑ってしまう。
女、男が喜んでいると思って、嬉しそうに鞭を何度も振り下ろす。
男、そのたびに笑うが
男「ちょっと待って、ちょっと」
女「違うの、これ違うの?」
男「あの、こういういじめじゃ、ないと思う」
女「でも、いじめたよ?」
男「それだとくすぐったいだけだから、もっと、こう、強く」
女「でもあたし、腕力ないから……」
男「そっか、女の子だもんなー」
女「叩いても、痛くないよ」
男「じゃあ、ほら、言葉で……」
女「言葉?」
男「言葉で、こう、バシーっと」
女「(唐突に)アーッ!」
男、驚く。
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