サンタクロースがやってきた…!?
『サンタクロースがやってきた…!?』
※2011年作成

【キャスト】
鷲尾 卓磨  (わしお たくま)    大学生 
長野 光司  (ちょうの こうじ)   大学生 卓磨の幼馴染
美沙       (みさ)      大学生 卓磨の彼女
小田桐 安子 (おだぎり やすこ)   大学生 卓磨の女友達
黒臼 二コル (くろうす にこる)   サンタクロース
ウェイター  (うぇいたー)     ウェイター

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   ある寒い冬の日。
   ワンルームマンションの一室、長野光司の部屋。
   カメラをいじっている光司が浮かび上がる。ふと手を止め、カレンダーを見る。
   やがて、話し始める…。

長野   クリスマス。それは本来、「神が人間として産まれてきたこと」を祝うとされる、
     イエス・キリストの生誕記念日だ。しかし、今やクリスマスと言えば、恋人た
     ちがイチャイチャすることの口実と化し、同時に、孤独で残念な男たちが心の
     奥底で「リア充爆発しろー!」と叫ぶ日である。無論、俺もその一人であるこ
     とは言うまでもない。俺がこれから話すのは俺の親友が実際に経験したらしい
     話だ。親友の名前は鷲尾卓磨。ガキの頃からの付き合いで、大人になった今で
     もよく行動を共にしている。いわゆる幼馴染と言うやつだ。そんな幼馴染の親
     友が、リア充と言う遠い世界へ旅立ったのが三ヶ月前。そのとき初めて、俺は
     親友を本気で殴りたいと思った。それから今日まで、俺は親友を羨望の眼差し
     で睨み続けている。そして、明日は遂にクリスマスイブ。

   十二月二三日。光司の部屋。
   鷲尾卓磨がやって来る。

鷲尾   メリークリスマス!光司!
長野   …またお前か。
鷲尾   またって何だよ?俺が来ないと寂しいくせに。
長野   馬鹿も休み休み言え。馬鹿が年中無休でもありがたくもなんともないぞ。だい
     たい、俺がいつ寂しいなんて言ったよ?
鷲尾   俺に彼女が出来たとき、顔に書いてあったんだよ。「親友に彼女出来た。辛い。」
     ってな。だからこうして彼女が出来ても、お前がひとりぼっちで寂しがらない
     ように会いに来てるんじゃないか。
長野   その割にさっきはお前の方が寂しそうだったじゃないか。それに、別にお前が
     来なくても俺は寂しくなんかない。ただ…。
鷲尾   ただ?
長野   …彼女は羨ましい。
鷲尾   わかるぞ。なんたって明日はクリスマスイブだもんな。彼女が居なくて寂しい
     のもうなずける。だがしかし、俺には居る。申し訳ないが明日は思いっきりい
     ちゃついたりなんかしちゃったりする。恨むな、親友よ。
長野   お前…。
鷲尾   っていうかお前も作ればいいのに、彼女。
長野   そう簡単にできたら苦労しねぇよ。
鷲尾   女の子なんて、ちょっと勇気出して強引に行けば案外なんとかなるもんだよ。
長野   そうかな。
鷲尾   そうだよ。食事に誘ってお酒なんか飲ませちゃったりして、それでもって耳元
     で優しい言葉を囁けば大抵の女の子はドキドキするんだよ。そしたらもうこっ
     ちのもんだ。
長野   ホントか?
鷲尾   昨日読んだマンガに載ってた。恋は自分から掴むものなんだってさ。
長野   恋、ねぇ。彼女は欲しいけど、恋ってのは面倒だな。
鷲尾   光司、お前はまだ若い。なのに恋しないで一体何する?答えは損する、だ。若
     いうちにいっぱい恋しなきゃ、歳とってハゲた頃後悔するぞ。
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