脳内の人 もういっちょ
脳内の人 〜店の慕う神編〜
・マーク (最近日本に来た外国人)
・侍 (マークの脳内の人)
・古井さん(マークの先輩)
・慣習 (古井さんの脳内の人)
・伊賀 (お客さん)
・甲賀 (伊賀の脳内の人)
あるお店。何を取り扱ってるのかは内緒。
店長である古井さんは何かを待っているようです。時計をみている。慣習が横にいる。
慣習 「どうだい?悩みがあるんじゃないのか」
古井 「何に対して」
慣習 「古い考えだって思ってるんじゃないか。自分の始めたこの商店、商品も作法も、慣習も王様のように自分で考えてきたな」
古井 「当たり前だ、店長だぞ。村なら村長、町なら町長、ちょうちょならちょうちょ長だ」
慣習 「ハンッ。ならその考えを押し通せばいいじゃないか」
古井 「…」
慣習 「精算だって昔ながらのそろばんでやってきたろう」
古井 「…もう、古いんだと。今月に入って未だ客なし」
慣習 「もう28日だもんな。2月の」
古井 「昔ながらの顧客で何とかつなげてるけど、そろそろ店内での売り上げも出していかないとまずいのだ!」
慣習 「…。まずいとか大声で言う方がまずいんじゃないかな」
古井 「あっ、確かに」
慣習 「だから、アルバイトとやらを雇うのか」
古井 「違う!勤労者だ。そんな横文字は使っていない」
慣習 「いや、勤労者はむしろ怖いぞ」
古井 「店に来るのは現代の人間だろう。現代に合わせていかねば、仕方ないんだ」
慣習 「フッ、頑固なヤツだな。俺はあんたの脳内の人だぜ」
古井 「…何が頑固だって言うんだ」
慣習 「あんた、アルバイトの意味分からなかったんだろ」
古井 「ばっ、馬鹿野郎。そんなわけあるか」
慣習 「現代人とこの店との違いを研究してきてあんたは思った」
マークと侍が現れる。
マーク「よろしくお願いスミス。今日から勤労者として戦わせていただく、マークです」
古井 「…」
慣習 「国際的にならなきゃってね」
古井 「よろしくお願いします。スミスくん」
マーク「いや、マークです」
古井 「マークくん」
慣習 「焦ったな。噂には聞いていたが、苗字と名前が分かりにくいな」
侍 「す、すごい。とても日本らしい造り。和の心を体験しながら、お給金がもらえる
なんて幸せです」
古井 「今日から働いてもらうわけだけども、内で一番大事なのは心だから」
マーク「和の心ですね」
古井 「そう!よく分かってるねえ、君」
慣習 「昔ながらの気持ちを分かってるなんて、やるなあ」
侍 「ハラキリ、ワリシタ、スキヤキ。予習はバッチリです」
古井 「まず一番大事なのは、『お客様は神様』ということね」
マーク「『ワリシタはスキヤキ』?」
古井 「いや、そうだけど。それとはちょっと違うかな」
侍 「やってしまった。予習しすぎた」
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