風の響
『風の響(かぜのひびき)』

作:岩本憲嗣



■登場人物
前島麟太朗(まえじまりんたろう・♂・20歳・新選組隊士)
朝比奈竜路(あさひなたつみち・♂・21歳・倒幕の志士)
前島秋埜(まえじまあきの・♀・24歳・麟太朗の姉)
三山あかね(みやまあかね・♀・19歳・酒蔵三山屋の娘)
月島総鉄(つきしまそうてつ・♂・25歳・新撰組隊士)
矢野真右衛門(やのしんえもん・♂・25歳・田中藩藩士)
矢野純(やのすみ・♀・17歳・新右衛門の妹)
三山桂一郎(みやまけいいちろう・♂・28歳・のぶの旦那)
三山こう(みやまこう・♀・14歳・あかねの妹)
三山のぶ(みやまのぶ・♀・26歳・あかねの姉)
西條奈切(さいじょうなきり・♀・25歳・長州藩士)
実相寺昭兼(じっそうじあきかね・♂・25歳・長州藩士)



     プロローグ
     1865年(慶応元年)8月。とある旅籠。竜路、実相寺、奈切がいる。竜路
     の手には布に包まれた銃。竜路、布を取り払う。

竜路  エンフィールド銃。これはメリケンの戦で使われたのが払い下げられたものです。
    一番の違いはドングリのような弾の形。それと、それによって生まれる圧倒的な
    飛距離。

奈切  お、朝比奈殿、ちょ、ちょっと貸して下さい。

     竜路、奈切に銃を渡す。

奈切  ひぇぁぁぁ!堪らんです!実物に触れるのは初めてです!凄いです!感動です!

実相寺 して、これをいかほど?

竜路  長州には4000丁。その内100丁程度ならば薩摩の商船に乗せてこの京にも。

実相寺 申し分ない。100丁あればこの京の大勢を変えるには充分。流石は噂に聞く亀
    山社中。なかなかに豪胆な商いをする。

竜路  恐れながら俺は社中の者ではありません。この商いは中岡先生の指示で仲介の手
    助けをしているまで。

奈切  中岡っていうと……土佐の中岡慎太郎のことですか?あの坂本と妙に仲のいい奴
    ですよね。あ、あの二人ってひょっとしてそういうのなんですか?ね?ね?私の
    印象だと坂本があっちかな、うへへへ。

竜路  (咳払いをして)そのような関係ではありません。志を同じくする同志。

奈切  同志ですか……ってことは朝比奈殿も土佐の出ですか?

竜路  いえ。私は駿河は田中藩の出です。お二人こそ長州にしてはお国言葉が……。

実相寺 ははははは。朝比奈殿。今の京で朝敵となった長州の言葉など話せるとお思いか?

竜路  朝敵……。

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