異端のルキア
【 一 】
星野が階段をゆっくりと上がっていき、やがて屋上へ着く。
柵の外へ身を出して顔を上げる。
星野「先生…。ねえ、先生…?あたしが…あたしが死ねば、いいんでしょう…?そうなんでしょう?ねえ先生…応えてよ…、答えてよ先生っ!」
星野、両腕を広げて屋上から身を投げる。
黒崎「処置は終わりました。授業に戻りなさい。ここはあなたの仮眠室ではありません。授業に戻りなさい。
発熱はない…がウィルス性の風邪かもしれない。早退して病院へ行きなさい。体調が悪いのなら応急処置はしてあげますが、原因は分かりかねます。
病院へ行って下さい。病院へ行く気が無いのなら授業へ戻りなさい。保健室に留まる事は、許しません」
黒崎、ゆっくりと歩く。
藤堂がやって来る。
藤堂「うちの高校の保健室の先生は、ちょっと変わっている。冷酷非道で鉄面皮。決して甘えを許さない。
何もしてなくても常に怒られているようだ。恐ろしくて怪我をしても具合が悪くなっても保健室へはなるべく行きたくない。
たいていの生徒達は、口を揃えてそう言う。それが、うちの保健室の先生、黒崎優」
黒崎の歩く影が映る。
【 二 】
舞台は現代の私立高校。
二月下旬の朝、生徒登校時間。
門の傍に、南川がいる。号外を配っている。
山之内と橘がやって来る。
それを見て、南川はそっと立ち去る。山之内と橘は南川に気付かない。
山之内「おはよう。何やってんだあ?」
橘「おはようございます。変な物配っているって、職員室に報告がありましたよ」
秋山、永原、ゆうがそれぞれ別の方向からやって来る。
永原、橘に会釈して校内へ去る。(橘、秋山、山之内のやりとり中に行う)
ゆう、校内へ去ろうとして一度立ち止まり、振り返る。それから去る。(橘、秋山、山之内のやりとり中に行う)
橘、通り過ぎようとした秋山の腕を掴む。
橘「ちょっと、スカートが短すぎるわよ。あと何、この髪は」
秋山「うるせーな」
秋山、掴まれている腕を振りほどき、校内へ去る。
山之内「(秋山に向かって)おい何だその態度は」
山之内、橘、秋山を追って去る。
藤堂がやって来る。
後から号外を持った亘理がやって来る。
亘理「あー肇いたいた!」
藤堂「ああ、おはよう」
亘理「おはよさん。どしたの?その手」
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