二度寝
男
女
キミ・先生
机に男が突っ伏している。
ふと、机上の目覚まし時計が鳴り響く。
男は突然起き上がって叩くように目覚ましを止めた。
男「午前六時半か、結構早く起きれたな。」
男「そう言って今朝、僕は目覚めました。今日は一限から、大好きな化学のテストがあったのです。」
男「六時半。僕はこの時間に起きたのです。確かにそこに僕はいたのです。しかし、次の瞬間!」
男は目覚まし時計を手にとって見る。
男「(ゆっくり視線をもとに戻しながら)時計の文字盤は、テスト開始時刻の九時四十分を指していました。」
男「(時計を戻して)僕は、二度寝を、してしまったのです。」
男、机に突っ伏す。
ふと、机上の目覚まし時計が鳴り響く。
男は急に起き上がって叩くように目覚ましを止めた。
男「学校へ行くと、先生が鬼のような形相でたっておられました。『どうしてテストを受けなかったのか』とお聞きになったので、僕は『はい!二度寝をしてしまったからです!』と、明るくハキハキ答えました。が、正直に答えたにも関わらず、先生はぼくをお許しにはなりませんでした。正直者が救われる世界は死んだのです。」
机上の目覚ましが鳴り響く。
男は渋々目覚ましを止める。
ふと、ノックの音。
女「(幕内より)ちょっと、いるんでしょ?」
男「いないよ。」
女「分かった、入るわよ。」
女が歩いてやってくる。
男「僕は『いない』と言った。」
女「あらそう。そんなことより、さっき先生から電話があったわよ。」
男「あっただろうね。」
女「今朝のテスト出なかったそうじゃない。」
男「出なかったよ。」
女「一体どうしたって言うの?」
男「『はい!二度寝をしてしまったからです!』」
女「(ため息をついて)あなた、馬鹿じゃないの?」
男「僕は馬鹿ですね。」
女「二度寝ですって?」
男「ええ。」
女「あなたいくつ?」
男「いくつに見える?」
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