何度でも、ん…おかしい
1 何度でも・ん…?おかしい
BOX一つ真ん中にある。
佐竹は誰かに追い詰められている。じりじりと崖に追いやられて、しまいにはハケから出てしまう。すると逆側のハケから『佐竹を象った人形』が投げ入れられる。
佐竹 「うわあああ」→暗転 ゲームオーバーの音。
明転→佐竹現れて座る。
佐竹 「はあ、またあの夢だ」
母の声「どうしたの。また変な夢見ちゃったの?」
佐竹 「ああ、大丈夫だから。気にしないで」
母の声「うん」
佐竹 「え?」
母の声「また死んじゃう夢見たのね。十日連続を更新したのね」
佐竹 「母ちゃん」
母の声「死んじゃう側からしたら十一連勤になるのね。労働基準法は無視してもいいのね。ちょっと母さん、そこが心配」
佐竹 「どこ心配してんのさ」
母の声「…」
佐竹 「大丈夫だから、ね。いつも心配させてごめんよ」
母の声「…そう。じゃあ、安静にしていてね。佐竹ちゃん」
佐竹 「…うん。……。いや、それおかしいでしょう」
平然と母ちゃん出てくる。
母 「ちゃん付けはおかしい年齢かしら」
佐竹 「平然と出てくるんかい」
母 「私もちゃん付け何だけどおかしいのかな」
佐竹 「母ちゃんなんだからおかしくないだろう」
母 「ああ。年齢は関係ないのか」
母ちゃん「納得納得」とか言いながら去る。
佐竹 「…はあ。俺がおかしいと思ったのは、家族なのに苗字で呼んでいるところだろうに」
母ちゃんは台本を持ってきてまた平然とやってくる。
母 「え、でも名前載ってないからさ」
佐竹 「出てくるなってぇ」
母 「くん、ってこれ敬称でしょ。私のちゃん、と一緒でしょ」
佐竹 「それでも名前はあるでしょう」
佐竹は母ちゃんを追い出して、座る。
佐竹 「…はあ」
母の声「あらまあ、ため息三度目よ。ため息ってあんまり体によくないんだからね」
佐竹 「分かったから。絶対に入ってくるなよ」
母の声「…それはダチョウのノリで行っていい感じかしら」
佐竹 「駄目だよ!」
夢の人が現れる。靴はナイキ。カップ焼きそばとポットを持っている。
佐竹 「どうしてこうも死んでしまう夢を見るんだ。この精神といい、あとあの母といい、運がない人生だよまったく」
佐竹は「もう一眠りするか」とか何とか言いながらハケていく。
夢の人は仁王立ちに切り替え、魁!男塾ばりの気魄で待ち構える。
佐竹がまた入ってくると、そこは佐竹の夢の中。
佐竹 「うおっ、何かいる」
夢の人「どうも、夢の中の人です」
佐竹 「そんな自己紹介の仕方あるかよ」
夢の人「私は今の自己紹介ほどには甘くは無いぞ。これから君は恐怖する。否、恐怖する」
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