スパイC−・スパイ
「スパイC−・スパイ」
ピーっと鳴った後にメッセージをどうぞ。
ピー。
山さん:私です。山です。実は大変な事が分かりました。それで私も追われる事になりました。ですからこの電話が終わったら暫くの間身を隠します。ですから携帯には電話しないで下さい。
電源を切っています。ていうか切って下さい。それと私の正体がばれるといけませんので写真やビデオの撮影はも禁止です。それは報酬はいつものスイス銀行に、あっ… 誰だ!
何をする! 離せー!
ツーツーツー (暗転 )
村田2号が座っている。
高木、鞄を抱えおずおずと入ってくる。
(何やらメモ書きを確かめつつ)ホントにここかなぁ? 東京首都保全局…って…
高木、一旦出て、すぐ帰ってくる。
高木:やっぱここだよ。入り口にちゃんと書いてある。でも東京首都保全局なんて部署が東京都にあったなんて辞令貰うまで知らなかったよ。
しかもこの地図…(紙を読む) 都庁正面玄関エレベーター、右から2列目より二度乗り込み、ってなんなんだよ。
二度って! 5階を通り過ぎる直前Rボタンを連打する… だから一体何階なんだよ! なんとか着いたけど…
あーあ、配置換えなんて嫌だなぁ。大体僕は消極的な性格で運動が出来ない上に体力がない、勉強以外に何一つ取り得のない人間なんだ。
だから一生事務職でくいっぱぐれがない公務員になったのに。前の住民課はそりゃあもう毎日毎日ジミーな事務仕事。
まさに僕にとっては天職そのものだった… それなのに… 昨日僕のデスクにこれが。
(一枚の紙を取り出す)辞令、高木雄介、左記の者を四月1日より東京首都保全局配属とする。東京都知事、石原新太郎。ってこれだけぇ?
何の説明もないし、誰に聞いてもこんな部署知らないって言うし… はぁ… 嫌だなぁ、シンドイとこじゃなきゃいいんだけどな…
それにしても誰もいないし…(村田に気付く)あ、なぁんだ。ちゃんといるじゃないか、おおっと、挨拶はしっかりしないと。
よし! 初めまして、僕今日から配属になりました、わぁ!
村田の顔色が緑なのに気が付き声も無く仰け反り慌てて後ずさる高木。
高木:顔が緑だ! (もう一度恐る恐る見る)ものすっごい緑ぃぃぃ。…病気かな? (もう一度見る)声かけづら〜い。
麻子、資料を見ながら登場。高木には目もくれず村田の下へ行き、ライトで目を調べたりしながら資料に何か書き込んでいる。
そして牛乳を村田に与える。一気飲みする村田。麻子、飲み終わった牛乳パックを回収し、再び去っていこうとする。
高木:あ、あの…
麻子、高木に気がつかない様子で出ていく。
高木:行っちゃったよ。…(村田に向き直り、意を決して声を掛けようと恐る恐る近づく)あ、あの…
イキナリ局長がバットを持って入ってくる。
局長:誰だキサマはぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
高木:わぁぁぁぁぁぁ! ごめんなさい! ごめんなさい!
局長:…ん? 君はもしかして高木君かい?
高木:そ、そうですぅ! 新しく配属になった高木雄介ですぅ!
局長:なぁんだ、スマンスマン。最近物騒なもんだからてっきり。
高木:はぁ…
局長:もう一寸で打ち抜いてしまうところでしたよ。はっはっは。
局長、バットをフルスイングする。風を切る音にビビリ後ず去る高木。
局長:冗談ですよ? (腕時計を見る)うむ、時間通りか大変結構。どうだね、迷わず来れたかね?
高木:迷いました。(皮肉あり)
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