ベタ禁止法
  ベタ禁止法


  【登場人物】キャスター(男)・解説者(男)
        A(男・サラリーマン)・B(男・サラリーマン)・C(女・居酒屋店員)
        D・E
        F(男・刑事)・G(男・刑事)

        ※1人何役か演じ分けることができます。



  舞台上の机・イスにキャスター(以下、司会と表記)と解説者(以下、解説と表記)が座っている


司会「皆さん、こんにちは。ニュースのお時間です。
   本日は、まず始めに、先日国会で提案されました新法案『ベタ禁止法』について
   特集を組んで、お送りいたします。
   解説していただくのは『ベタ(な人々)』の研究の第一人者である○○さんです。
   本日はよろしくお願いします。」
解説「よろしくお願いします。」
司会「それでは早速ですが、『ベタ』とはどんなことを指す言葉なのでしょうか?」
解説「『ベタ』とはありがちであったり、ありきたりであったりすることを指す言葉なのですが、
   その判別は実はいまだに曖昧なままなんです。」
司会「それはどういうことでしょう?」
解説「今の所、明確な基準が決められていないんですね。」
司会「それでは何をもって判断したら良いのでしょうか?」
解説「それは、ある言動をした時、自分自身や、それを見た人が
   『うわぁ〜、ベタだな〜』と思うかどうかで判断されます。
   今の所はそれしか無いでしょう。」
司会「それは具体的にはどんなものが当てはまるのでしょうか?」
解説「そうですね。例えば、授業中に居眠りしている生徒に向かって『チョークを投げる教師』や、
   頭にネクタイを巻いて、手には家族へのお土産を持っているような『あからさまな酔っ払い』
   などが当てはまりますね。」
司会「なるほど。」
解説「他にも、昼ドラなどでよく聞く『この泥棒猫!』といったセリフや、
   マンガなどで出てくる『俺にかまわず先に行け』というセリフのように、
   フィクションの中でしか見られないようなものも『ベタ』であると判断されます。」
司会「つまり、それらの言動を規制するのが『ベタ禁止法』ということなんですね?」
解説「はい。ありきたりなもの、使い古されたものを排除することで、
   新しいものを生み出し、世の中を活性化させ、景気の回復を図るというわけです。」
司会「なるほど、それでは世の中に溢れる『ベタ』が無くなったらどうなるか、検証してみましょう。」
解説「はい。」
司会「それではまずは、こんな『ベタ』です。」


  A・B(サラリーマン) 登場


A 「いや〜、今日も暑かったなぁ。」
B 「こんな日に外回りなんて嫌になりますね。」
A 「仕事だからしょうがねえけどな。」
B 「まぁ、そうですけどね。」
A 「それじゃあ、今日も一日お疲れ様ということで…。」
B 「ちょろっと飲みに行きますか。」


  A・B 店に入る
  C(居酒屋の店員) 登場

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