あの世から生まれ変われ
「あの世からよみがえれ(仮)」
録沢京
チビ(良太郎)
シバ(柴之助)
閻魔大王
リップ
桂七海
1.閻魔様の審判
荒涼とした風景。冷たい風が吹く。
面をかぶったチビが寒そうに歩く。
閻魔大王の部屋の扉をあけ、入る。
そこには閻魔が控えている。
閻魔 何しに来た。
チビ ひっ。
閻魔 この閻魔大王の審判を受けにきたのか?
チビ えんま……?
閻魔 おや。地獄に来ておいて俺の名前を知らないとはとんだ物知らずだな。
チビ 地獄……ここが……
閻魔 おい誰か鬼はいないか。こんなチビは俺の予定に入ってないぞ。
シバ、現われる。
シバ 鬼はいねえかと問われれば、ここにいらあと声張り上げて、さっとつかむぞ首根っこ、俺は地獄の悪者食らう、天下無敵の、ア、柴之助様でござい。
閻魔 シバ公、こいつはどっから入ってきた。
シバ はあ。きめておいてこれだから。
閻魔 鬼としての責務を果たしていれば多少くどいのには目をつぶろう。シバ公、このチビはどこから紛れ込んだ。
シバ 閻魔さんよお、呼びつけといて用事はそれかい。そんなの入口に決まってんだろ?
閻魔 確かにどんなものでも全て入口からやってくると言えば間違いではない。俺の部屋のドアも入り口、声が出てくる口も入り口と言えば入り口、貴様のその退屈な考えが出てきたのも右耳から左耳という入り口だからな。
シバ 理屈っぽいのは俺あ苦手だな。(チビを痛めつけようとする姿勢をとって)じゃあ、吐かせるのか?閻魔様。
チビ え……?
閻魔 まあ待て。
シバ 何だい?
閻魔 ……少し気になることがある。
シバ 何だよ。
閻魔、歩み寄る。後ずさるチビを捕まえ、その面をはぐ。
(ちなみに面はこの後ひもで後頭部に回しておくこと)
シバ 何だ、ガキじゃねえか。何でお面なんかかぶってるんだ?
チビ あ……あの……離して……
閻魔 お前、上から来たんだろ。
シバ 上?
チビ う……
閻魔 はっきりしろ!何しに来たんだ。
チビ (今にも泣きそう)
シバ まあまあ、閻魔さん、怖がってるじゃねえか。
閻魔 俺はぐずぐずしてるガキは嫌いだ。
シバ まあ地獄に子供が来るなんざよろしくないことだな、え?チビ助。大丈夫だ、このおじさんちょっと短気なんだよ。
閻魔 そういう問題じゃない。こいつはイレギュラーだ。
シバ いれぎゅらー?閻魔さん、日本語しゃべってくれよ。
閻魔 規格外。こいつは死人じゃない。まだ生きてる。
シバ はあ?死人じゃない?
閻魔 この面をかぶってるのが証拠だ。
シバ お面が?
閻魔 まだ生きている奴はこの地獄で素顔をさらせない。そういう決まりだ。
シバ へえーそうなんか。
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