ヤーバに祈れば
2011夏 台本    演劇 四次元STAGE

『ヤーバに祈れば』


【登場人物】 5人
スェン・・・ウイグルや東トルキスタンの辺りにある、アジア系の小国ガラガ王国の少女。
正継(息子)・・・日本人。仕事のためガラガ在住。
初江(母)・・・一般的な日本女性。夫は既に他界し、一人息子が海外から帰ってくるのを
楽しみにしている。趣味として市民コーラスサークルで日本の民謡を歌っている。
山嵐・・・ヤマアラシ。母の趣味友達の若い女性。古株。
藪林・・・ヤブバヤシ。母の趣味友達の若い女性。新入り。

【登場しない人物】
磯辺・・・初江の通う市民コーラス部の老人。
ハンナダール国王・・・ガラガ王国の王様。







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【序幕】
アジア系の民族衣装に身を包んだ少女スェンが立っている。
その周りを、同様の民族衣装を着た者たちが囲むように座っていて、それぞれに楽器を持っている。(あるいは手拍子や足音)
彼らが演奏し、スェンが中央で踊る。  ※歌は1曲目は全員。2曲目はスェンのみ(同じ曲)。

女性らしい優雅な、あるいは妖艶な踊りではなく、土着の民族を思わせる力強い踊り。
激しく、明るく。豊かに。笑顔で。

銃声。そして喧騒へ。紛争のざわめきが聞こえる。
祈る少女。
暗転。

【第1幕の1】
■日本。初江・正継の家。
■ガラガへ戻る準備をしている正継。(玄関に小さめの旅行鞄が置かれ、スーツと旅行を混ぜた格好で歯を磨いているetc)

■初江が手に梅干の瓶を持って台所から出てくる。
初江「お土産持った?」
正継「え? 昨日置いてきたよ」
初江「本社じゃなくて、向こうの」
正継「あぁ。向こうのはもう箱に詰めて送っといた。梅干とか」
初江「あ、そう・・・」

初江「カツオ節は?」
正継「え? いや」
初江「じゃぁ持ってきなさいよ、一本!」
■台所に去る初江。
正継「一本? 荷物になるからいいよ」
■戻ってきて。
初江「ほら」
■手にはカツオ節一本と鉋(かんな)。
正継「いいよ。空港でチェック受けるの面倒だから」
初江「そう・・・」
■お茶を入れる初江。座って飲む正継。

初江「パスポート持った?」
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