イヌノアナ
イヌノアナ
(登場人物)
アボ
ドボ
若い女
若い男(セリフ無し)
男1(3回繰り返す男1)
包帯女
男2(男1に似た、ドッペルゲンガーを見た男)
踊る女
狂言廻し
<プロローグ>
舞台暗転。音楽F・I。
登場人物の様々なポーズ(飛び降りた後、色々なポーズをしている。)が、一枚ずつ一秒
毎ぐらいに映し出される。スライドF・O、音楽F・O。
だんだんと明るくなると、舞台中央に大穴。人が飛び込めそうなぐらいの大穴が開いて
いる。あたりには、古着やゴミが散乱している。
ややあって、狂言廻しが舞台前に出てくる。
狂言廻し「ああ、そこ。危ないですよ。それ以上前には出ないで下さいネ。
ありがとう。
使われなくなって随分経ちますからね。周囲のコンクリートだって、
ほら。(と言って床から小石を摘み上げる。くずれる。)
ね。見かけ以上に危ないんですよ。
戦後間もない頃は、なんだか人には言えないような、見られたくないようなものまでこの大穴に放り込んでいたらしいですからね。ウワサですけど・・・
一応、放射線とか細菌とか検査してますけど、めったに人が近づかないもんだから、この辺りしかね、やっぱり。ハハハ・・
大丈夫ですよ、この(後ろを指差し)フェンスのこちら側なら安心ですから。
ほら、私、ずっとここの案内やってますけど、いたって元気、ゴホホホ・・
なんて、冗談ですよ、冗談。え?笑えない?そうですか。私、良く言われるんですよね、潮を引かせるって・・・まあ、関係ないですけど・・・
え?何の話だって?だから、ほらあれです。見かけ以上に危険だから・・
私じゃないです、危険なのは、ココ。ここですから。
勝手に中に入っちゃいけないってことです。
まあ、フェンスの入り口には、いつもカギかかってますから入れませんけどね。
入り口?ええ、そこです。カギ?ほら・・アレ?かかってない。
どうしたんだろ。一昨日、確認したときは、一度開けて、ちゃんと・・?」
アナに近寄って。
狂言廻し「おーい!」
耳をすますが、何の音も聞こえない。
狂言廻し「やっぱり、カギ、掛け忘れたのかな?
おーい!誰もいませんか?いないなら返事してください!」
耳をすますが、何の音も聞こえない。
狂言廻し「って、誰もいなけりゃ返事する訳ないか。ハハハ
さて、次の建物に行きますか。誰もいないみたいですね。それじゃあ、ずいいっと・・」
暗転。
<第1場>
明転すると下手からOL風の若い女が出てくる。辺りをうかがっている。穴に気付く。
恐ろしそうに穴を覗き込む。風が下から吹き上げてくる。思わず、息を呑む若い女。
ためらっているような、考えているような。
古着が動き出す。
アボ 「ちょっと待った。」
若い女 「!」
アボ、体がかゆそうに起き上がり、メンドクサソウに。
アボ 「飛び込むつもり?そこに。」
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