銀河のかたすみで
(夏版)
銀河のかたすみで

登場人物
清水純子
大矢一広
近藤正夫
鳩ヶ谷香織
高嶋美樹
小山祐司

謎のおじさん


Scene 1
宇宙の様々な音がする。色々な曲やDJの声がごちゃごちゃと聞こえてくる。色々な曲やDJの声がごちゃごちゃと聞こえてきては消えていく。音が大きくなり、その中に携帯電話の着信音が聞こえてくる。宇宙の音や音楽は徐々に小さくなり、着信音だけが残る。舞台前面に照明がつく。どこかの路上。風が強い。大矢一広が強風に煽られながら、カバンやポケットから携帯電話を探しながら歩いてくる。立ち止まって取り出す

一広:はい、もしもし…あぁ…うん、今日の夜行でそっちに行くよ…え?…うん…ん?…もしもし…もしもし

電話が突然切れたようだ。一広、首を傾げて携帯電話をにらみ、携帯をしまう。ふと、手を空にかざす、舌打ちする

一広:降ってきた…

となりで真っ青な服を着た謎のおじさんがラジオを聞いている。さきほどの色々な曲やDJの声がラジオから流れている。チューニングを合わせようとしている謎のおじさん。通りすぎようとする一広。ラジオの音質が多少安定して、「タイム・アフター・タイム」がかかる。ラジオのほうに振り向く一広。謎のおじさんと目が合う。目をそらして行こうとする一広

謎のおじさん:ラジオ聞いてんだ!
一広:…は?
謎の:ラジオ聞いてんだよ、俺は!
一広:はぁ…すいません…え?

謎のおじさん、何事もなかったかのように再びラジオを聞き始める。一広、おじさんと同じように夜空を見上げる。オープニングかかる。一広、去る。謎のおじさん、客席に軽くあいさつをして、はける。暗転


Scene 2
緞帳上がる。明転。舞台はとある地方のローカルFMラジオ局。舞台下手にブースがあり、小さな机の上にマイクが2本置かれている。ブースの外にはミキサーデスクや、長い机、パソコンの置かれたデスクなどがある。奥に時計がある。ブースとの間には扉があり、舞台前面には大きな窓がある
近藤正夫、鳩ヶ谷香織、高嶋美樹がいる。美樹は双眼鏡で空を見ている。あとの二人も同じ窓から空を見ている。近藤は美樹のすぐ後ろにいる

近藤:(美樹の耳元で)何見てるの?

美樹、ひどく驚く

美樹:近藤さん!びっくりさせないでください
近藤:どうしたの?そんな真剣に
香織:もうミーティング終わっちゃいましたよ
近藤:ごめんごめん、道が大渋滞でさ
美樹:雨、やまないですかねぇ
近藤:すごいよねぇ、こんなでかい台風何年ぶりか
香織:もう九月だもんね
近藤:夏も終わりだね

一同、空を見上げる。純子が入ってくる

純子:ねむぅぅぅぅい!
近藤:おぉ、売れっ子DJのおでましだ
美樹:お疲れ様でーす
純子:ちょっと聞いてよ、一広、昨日十二時から打ち合わせでさ、その後深夜三時まで番組やって、終わった後スタッフの人たちと飲みに行って朝になってバイト行って夕方になってバイトの子と飲みに行って夜になってまた番組の打ち合わせして…マル一日寝てないんだよね
近藤:アル中みたいだね
純子:だからちょっと寝るね、お休み
香織:寝るな!
純子:あ、香織さん
香織:そんなとこで寝られるとすごく邪魔なんだけど
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