俺の伝記(レジェンド・ストーリー)
俺の伝記(レジェンド・ストーリー)

吉田
山田

   学生服を着た二人。
   吉田の部屋。吉田が何事かを山田に話している。
   聞いていた山田、突如かぶりを振る。

山田 えー無理無理。
吉田 え、何で。できるって、お前なら。
山田 いや意味わかんないし。
吉田 いい考えじゃん?
山田 だって伝記、でしょ?
吉田 そう、伝記。
山田 電線を流れてるやつじゃなくて。
吉田 そう。英訳すれば、レジェンド・ストーリーってやつ。
山田 だよね、だよね。
吉田 だから、俺の伝記を、お前に、書いてもらうっていう。
山田 いやおかしいでしょ。
吉田 え、どこが、何が、何で。
山田 いや、何て言うの。
吉田 何だよ。
山田 伝記ってのは、偉くなった人が、その生きざまを残すもんだろ?
吉田 当たり前じゃん。
山田 え、だからさ。
吉田 うん。
山田 え、僕がおかしい?違くない?
吉田 いや?
山田 いや、いやいや吉田も僕もまだ成人すらしてないし。
吉田 そーだなーあと何年かなー。
山田 いやだからそういう問題じゃなくて、吉田そもそもまだ何もしてないじゃん。なんにも。
吉田 そのいい方はムカつくけど、まあ、歴史的にはな。
山田 だから、まだ伝記に書くようなことしてないでしょ?
吉田 わかってるって。そんなことは。
山田 じゃあ。
吉田 まあまあまあ聞けよ。俺にはな、あれだよ、ビジョンがあるから。な?
山田 ビジョン?
吉田 未来のビジョン、さ。
山田 夢ってこと?なんだっけ、ミュージシャンだっけ。
吉田 違うし、アーティストだよ。マジで聞いてた?やだなあ、俺の伝記、間違った
   こと書かれたら嫌だなー。
山田 いや書かないから。
吉田 何で。
山田 今言ったでしょ。吉田は、まだ伝説何も残してないって。
吉田 あるし、俺の頭の中には出来てるし。
山田 いや実行してないんでしょ。
吉田 そりゃ未来のことだからな。
山田 だからさ…
吉田 俺は必ず実行に移す。伝記はその証明になるんだって。
山田 なんかおかしくない?それって。
吉田 新しいことはおかしいって言われるものなんだよ。
山田 新しいっつーか、それ単なる妄想日記みたいなもんなんじゃ…
吉田 妄想じゃねーし。日記でもねーし。お前が書くんだろ?
山田 何で決定してんの。僕は嫌だから。
吉田 まあそう言わずに。この伝記が出版されたら印税10%やるから。
山田 10%?嘘でしょ?
吉田 俺太っ腹だから。
山田 いやそうじゃなくて、少なすぎない?書いた人に100%じゃないの?
吉田 馬鹿だなー山田。大人の世界はそんなに甘くないんだぜ。
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