鬼ごっこ、人ごっこ。 -2012-
90分ver.
『鬼ごっこ、人ごっこ。』
ダブルクラブ#11 2012年バージョン
登場人物:由希・・・女。主人公の女子高生。
昴・・・・男。鬼。
響・・・・男。鬼。腹ペコ。
兄・・・・男。テンションが高い大学生。
友人A・・女。タカコ。落ち着いた優等生の女子高生。
友人B・・女。アキコ。テンションが高い女子高生。
女・・・・女。先生。研究者。
占い師・・男。謎の占い師。
場面:場面は由希の部屋、公園の二つで構成される。
舞台前を外の道として使う場面もある。
舞台装置:舞台には、家のソファーと公園のベンチと研究所の手術台を成すものが設置されている。抽象舞台。
【第零章】
場面は研究所。
突如、静寂を破ってサイレンが鳴り響く。
薄暗い研究所は緊急時の赤いランプの点滅で照らされる。
「うおお……」と、鬼たちのうめき声がこだまする。
鬼たちがうめきながら、喚き散らしながら、研究所の中を走り回り、研究所から逃げ出す。
数匹の鬼が逃げた後、白衣を着た女が同様に逃げてくる。
追いかけて来た響はすぐに女に追いつく。
響、女を掴み、手術台へと押し倒す。
響、女の右半身を食う。足、腕、眼……
女の悲鳴が響く。
血まみれになる女。
昴が現れる。
昴が女と響を引き離す。
響の肩と腕を掴み、暴れる響を抑えながら、昴は響を連れて逃げだす。
ゆっくりと暗くなる。
うすぼんやりと、誰もいない暗闇の中に文字が浮かび上がる。
「鬼ごっこ、人ごっこ。」
【第一章】
場面は由希の部屋。
女子高生の部屋にしてはひどく殺風景でほとんど物が置いていない。
部屋には男が二人。
一人は虚ろな目をした少年。部屋の中央でクッションを抱えている。
一人は目つきの鋭い青年。部屋の隅で落ち着かない様子のまま中空を仰ぐ。イライラと
しながら自らを押さえつけているかのように見える。
かちかちと時計が鳴る。鳴り響く。
だんだんと音は大きくなっていく。
と、ガチャリと玄関のドアが開く音。
二人はその音に反応する。
部屋の扉が開く。
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