カミヒトエノキズナ
『カミヒトエノキズナ』
男1 父
男2 大翔
男3 父の友人
女1 大翔の彼女
男1、男2が食事をしている。男1は長毛のカツラを頭に乗せ、エプロンを着用しているが、仕草に女らしさは無い。黙々と食事をする二人。
男1 …………どうだ。
男2 ……ん?
男1 どうだ。
男2 ああ、いいよ。まあまあ。
男1 そうか。
再び無言で食事をする二人。男2が食べ終わる。
男2 ごちそうさま。
食器を片付けようとする男2。
男1 ああ、いい。お母さんがやっとくから。
男2 ……そう。
そう言って、男1は男2の食器を片付け始める。立ち上がり掛けた男2は再び座る。
男2 …………あのさあ、親父。
返事は無い。洗い物の音がかすかに聞こえる。
男2 あのさー!
やはり返事は無い。
男2 おーい!おやじー!
やってくる男1。仁王立ちし、自分のカツラを指差す。
男2 ……大事な話があるんだ。
男1 フンッ!フンッ!
鼻息荒く、エプロンをはためかせる男1。
男2 ……わかったよお袋……。
男1 分かれば良い。
台所へ去り掛ける男1。
男2 戻るなって!話があるんだって!
男1 ちょうど良かった。私からも大翔に話がある。腹にすえかねていた所だ。
男2 え、なんだよ。
男1 私は親父じゃ無い。ましてやあのさーでもおーいでも無い。
男2 分かったってば……。
男1 分かれば良い。
またも去り掛ける男1。
男2 だから戻るなって!話があるんだって!
男1 話って何だ。儲け話か。
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