夏のマナー
「夏のマナー」

熊谷 春也(クマガイ ハルヤ)
日暮 京(ヒグラシ ミヤコ)

春也「なぁ・・・、京って、家で勉強とかしてんのか?」
京「え、全然」
春也「な・・・本当に?」
京「私はあんな父親と違うの」
春也「は?ち、父親?」
京「あのさ、ハル、私たち学生の仕事って勉強することでしょ?」
春也「え?あ、う、うん・・・まぁ・・・そうだけど・・・」
京「私はあのクソ父親なんかとは違うの」
春也「いや、京がどんだけ自分の父親のこと嫌いかは知らないけどさ・・・」
京「そうだよ、大嫌いだよ、普段は全く私らに関わらないで仕事仕事仕事のくせに、いざって時に父親ヅラするとか・・・」
春也「わかった、わかったよ、自分の父親のこと嫌いなんだな」
京「そう、だから私はあんな父親みたいにならないって決めたの」
春也「いや、だから、そこが繋がんない」
京「私は仕事を家庭に持ち込まないタイプなの」
春也「・・・だったら、まず職場で仕事をしろよ、授業中居眠りばっかりのくせに」
京「うっ・・・だ、だって・・・夜寝るの遅いし・・・」
春也「次の定期試験とか大丈夫なのか?」
京「・・・大変まずいです」
春也「っても京はあの兄貴に教われるからいいのか、あの人頭いいし」
京「いや、今年にぃにぃ受験だからそんな暇ないみたいで、本当にまずいんだよね・・・」
春也「じゃあ、来月提出のノートは?」
京「やっていません、出来たら見せてください」
春也「はいはい・・・」
京「あ、このまま家行って写しちゃっていい?」
春也「今日?この後?今日は何にも無いから大丈夫だけど・・・先に言っとくがお菓子とかもないからな?」
京「別に大丈夫、お構いなくー」
春也と京、家について勉強を始める
BGM:蝉の鳴き声
京「あ、ねぇ、ハル、よく、おっさんが『近頃の若いやつは』っていうじゃん?」
春也「あー、言うな」
京「あれって、どれくらいが若いやつらなんだろね?」
春也「は?」
京「ほら、120歳の人から見たらそのおっさんも若いやつじゃない?」
春也「上すぎるだろ、それ・・・」
京「逆に三歳児にしてみれば・・・」
春也「ちょっと待て、三歳児がそれより若い子に何を文句言うっていうんだよ?」
京「え・・・近頃の若いやつは一歳になってもまだ歩けんのか・・・みたいな」
春也「子供ってさ、何もつかまらないでちゃんと歩けるのって遅い子だと大体一歳と三ヶ月程度とかじゃなかったっけ?」
京「そうなの・・・?」
春也「そうなの」
京「近頃の若いやつはそれくらいで歩き出すのか・・・」
春也「多分使い方おかしい」
京「・・・」
春也「・・・」
京「あ、そうだ」
春也「今度は何?」
京「なんでホテルってさ、馬油(うまあぶら)と炭のシャンプーしか置いてないのかな?」
春也「うまあぶら?」
京「ほら、馬の油、ホテルのシャンプーに書いてあるじゃん、一階の売店で売ってますとかと一緒に」
春也「あぁ、あれ、まーゆって読むんだよ」
京「あ、そうなんだ・・・」
春也「それにさ、温泉行ってメリットとかじゃ自宅みたいでテンションあがんなくない?」
京「・・・それもそうだね」
春也「・・・」
京「あ、そ、そうだ」
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