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Bar

『Bar（バー）』

登場人物

マスター　……　バー「けんちゃん」のマスター

美弥子（みやこ）　……　２４歳、女性。酒癖は悪い

陣内（じんない）　……　自称「ジン」。バーの常連

　　　　　開幕
　　　　　
　　　　　深夜のバー
　　　　　酔いつぶれた美弥子がカウンターに突っ伏している

　　　　　その様子を横目に、グラスを拭いているマスター
　　　　　少し離れた席で、陣内が一人で飲んでいる

美弥子　　「マスター！　もう１杯！　強いやつ！　もーめっちゃ強いやつ！」
マスター　「お客さん……これ以上はやめといた方がいいですよ」
美弥子　　「あぁん！？　私はまだ全然ヨユーだっつうの！」
マスター　「限界きてる人は、揃ってそう言うんですよ〜」
美弥子　　「うるさいわ、ハゲ！　黙って酒持って来いぃぃぃ！」
マスター　「初対面の人にハゲって言われたの、初めてですよ。ハゲてないですよぉ、
　　　　　　僕。そりゃ、色々苦労はありますけどね。
　　　　　　バーテンダーになって、自分の店出すのは、僕の夢で……」
美弥子　　「あんたの身の上話なんて聞いてないんだよ！
　　　　　　いいから、酒！　テキーラ！　ロックで！」
マスター　「あはは、参ったなぁ〜」
陣内　　　「マスター」
マスター　「はい？」

　　　　　陣内の座っている席に移動するマスター
　　　　　マスターに何かを耳打ちする陣内

マスター　「（美弥子に）あのぉ」
美弥子　　「はいぃ！？」
マスター　「これ、あちらのお客様からです」

　　　　　陣内の方を指すマスター
　　　　　決めポーズとともにドヤ顔の陣内

美弥子　　「誰、あれ」
マスター　「ウチの常連さんです」
美弥子　　「（グラスを見て）で、これ、何？」
マスター　「牛乳です」
美弥子　　「ふざけんなぁぁぁぁ！」
マスター　「いや、僕に言われても……」
陣内　　　「気に入っていただけたかな」
美弥子　　「何でバーに来てまで牛乳飲まなきゃいけないのよ！　下げて！」
陣内　　　「お嬢さん、牛乳ほど栄養価の高い飲み物はない。美容のためにも、
　　　　　　飲みたまえ」
美弥子　　「酒場で健康に気使うな！」

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