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スフィンクス２０１０

ＳＰＨＩＮＸ　２０１０（一幕三場プロローグ付）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　作・瀧澤　豚琴

ＣＡＳＴ
　　　　ジャスミン
　　　　　ト　ニ　ー
　　　　　尾賀　波子
　　　　　鶴畑真三郎

　　　　　　　　占い師
　　　　　　　　通行人
　　　　　　　　声１（男）
　　　　　　　　声２（女）

プロローグ

　　都会の雑踏。大勢の人々が行き交う中で、占い師が店を張っている。そばで女子高生風の二人が占いを頼む
　　かどうか相談している様子。そこへ酒に酔った男（鶴畑）が通りかかり、占い師の前の席へ行こうとした二人
　　より先に座ってしまう。（トニー登場。一歩遅れて、尾賀登場。）

鶴　畑　　よ、どう？　景気は？　ん？　やっぱ、こんな不景気じゃ、こういうのもだめか？　あ？　それとも
　　　　　あれか？　この商売は関係ねぇか、始めっから何も、ウ、ラ、ナ、イ、なぁ〜んっちって、ギャハハ
　　　　　ハハハ・・・・・・（フラフラと立ち上がり、隅へ行ってうずくまる。）
女高生　　サイテー！
トニー　（女高生に）ねぇねぇ、君達さぁ、占いとか興味ある？　俺ケッコウ得意なんだけどさ、とりあえず
　　　　その辺でお茶しない？
女高生　　キャハハハ・・・・・、だっさ〜！　キャハハハ・・・・（去る）

　　トニー、ちぇっと舌打ちをしながら占い師の所へ行こうとするが、一足早く尾賀が座る。

尾　賀　　あの・・・・・・
占い師　　何かを・・・・・・お探しですね。
尾　賀　　え？　あ、わかります？
占い師　　ここに・・・・出ています。
尾　賀　　すごい。あの、それで、見つかるでしょうか。
占い師　　やってみましょう。（何やらブツブツ云うがやがておもむろに）見えてきました。・・・・・朝です。
　　　　　黄色く光る目が一つ、開いたり閉じたりしています。昼には３ツ目になりました。そして、夜、百目
　　　　　・・・・いや、無数の目が光輝いています。
尾　賀　　・・・・・あの、私、なぞなぞ苦手なんで・・・・もう少し分かりやすく云ってもらえません？
占い師　　この謎が解けた時、あなたは探していたものが見つかる筈です。
尾　賀　　もし、解けなければ？
占い師　　あなたの身に災いが襲いかかるかも知れません。
尾　賀　　そ、そう。じゃ、何としても、解かなきゃね。ありがと。おいくら？　あ、はい、じゃこれ。
　　　　　見つかったら、お礼に来るわね、じゃ。（作り笑いを浮かべ、虚ろに去って行く。）
トニー　（入れ違いに座り）へ〜、何か本物みたいじゃん。
占い師　　遅い！　いつまでも待たせるから、変なのが来たじゃないか。
トニー　　なかなかそれらしかったぜ。とてもテロ組織の幹部には見えなかった。
占い師　　バカ！　それに、これから大事な仕事だって時に、何ナンパなんかしてしてるのさ。お前には任務の
　　　　　重大さが解ってないようだね。
トニー　　わかってますって。この腐れ切った日本に天誅を下すって・・・・・
占い師　　バカ！　大きな声出すんじゃない！
トニー　　あ、ごめん、つい昔の癖が出ちゃって。ね、それより、さっきのなぞなぞ、あれ、答え何？
占い師　　知らないよ、口から出まかせ言っただけ。
トニー　　何だ。でも、何かすごくそれっぽかったけど・・・・・・
占い師　　ギリシャ神話に出てくる話をちょっとアレンジしただけさ。ほら、あるだろ？　朝は四本足、昼は
　　　　　二本足、そして夜は３本足ってやつ。
トニー　　え？　なにそれ。
占い師　　バカ。こういう奴が食われちまうんだね、きっと。さ、それより、仕事の話だ。（この時、うずく
　　　　　まっていた鶴畑が動き始める。）こっち来な。（と、トニーを連れて後ろへ下がる。）

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