ホラーズへ ようこそ!
ホラーズへようこそ!(一幕二場プロローグ付)
作・瀧澤 豚琴
CAST
モエ子
ヤスミン(妹)
チヒナ(姉)
ヨミ子(幽霊)
留守番電話の声たち
<プロローグ>
上手より、携帯電話を耳にあてながら モエ子 登場。手には合宿にでも行きそうな大きな荷物。
モエ子 ・・・・・あ、もしもし、あたし。・・・・・うん、今ネ、駅前。あ、北口でいいんだよね。・・・・・・え? なに?
まだ言ってんの、そんな事。お父さんはね、あたしを信じて、枝豆でもつまみながらビール呑んで待っ
ていればいいの。で、どっち行けばいいの? ・・・・・・え?パチンコ?・・・ああ、あるある。・・・・・ええ?
カレーショップなんて見えないよ。・・・・・・・ああ、曲がってから。・・・・・うん、わかった。・・・・・・・・・・・・
だから、大丈夫だって。あたし、小さい時から、そういうの平気だったの、お父さんだって知ってるで
しょ。・・・・・・・あたしだって、遊びのつもりなんかじゃないもん。だいたいね、あのビルが売れなきゃ、
一家心中しかないって、お父さんが言うから・・・・・・・・
モエ子、言ってしまってから、あわてて辺りを見廻す。と、そこへ大きな荷物を持った、 チヒナ と ヤスミン
下手より登場。 モエコ を見つけて ヤスミン だけが手を振る。
モエ子 (それに答えて手を振り)あ、今、二人来たから。じゃ、切るからね。・・・・・・・・だから、本当に大丈夫
だって。まだ信じてないわけ?
チヒナ (ヤスミンに)ここまで来ればいいでしょ。
ヤスミン お願い、もう少し。
モエ子 (電話に)・・・・・・・そりゃぁ、その場を見たわけじゃないけど・・・・・・・
チヒナ 何であたしがこんな事に付き合わなきゃなんないわけ?
モエ子 だから、本当なんだって。
ヤスミン (チヒナに)お願い。話を聞いてみるだけ、ね。
モエ子 本当に普通じゃないんだから、あの二人。
チヒナ (モエ子の言葉に反応して)帰る。
ヤスミン あ、お姉ちゃん、待って。ちょっと、モエ子〜。
モエ子 あ、じゃ、切るからね。とにかくあたしに任せて置きなさいって。じゃぁねぇ〜。(切る)
もう、やんなっちゃう。うちの親父。いつまでも子供扱いでさ。あたしには何もできないなんて思って
んのよね。あたしに出来なくても、あなた達は別よねぇ。あれ、チヒナ、どうしたの?
ヤスミン え? あ、いや、別に。
チヒナ ヤスミン、これ、どういう事?
ヤスミン どうって、あの、それは・・・・・・
チヒナ 普通じゃないあたしたちに出来る事って、何の話?
モエ子 普通じゃないなんて、誰がそんな・・・・・・あ、あれは、その、ほら、言葉の綾よ、ア、ヤ。ハハハ・・・・・
(二人ににらまれて)え? じゃ、まだ話してないの?
ヤスミン うん。本当言うと、チヒナって、あんまり好きじゃないのよね。こういうの。
チヒナ こういうのって、どういうのよ。
ヤスミン だから、その・・・・・・
モエ子 人助けなの。困っている人を助ける事なのよ。これは。
チヒナ あら、人助けが好きじゃないなんて、あたし、そんな人間じゃないつもりだけど。
モエ子 そうよねぇ。そんな人じゃないわよ、チヒナは。ねぇ。
チヒナ だから、何なのよ、いったい。
ヤスミン あの、モエ子がね、あたしたちの力を貸してほしいって。
チヒナ 力を貸す?
モエ子 そう、あなた達じゃないと駄目なの。あなた達みたいな、霊能力者じゃないと。
チヒナ ・・・・・・ヤスミン、あんた、モエ子に何言ったの?
ヤスミン だって・・・・・、モエ子すごく困ってたし・・・・・
モエ子 そう、困ってるの、あたし。
ヤスミン モエ子のお家大変なんだって。ほら、モエ子んちって不動産やさんでしょ、それで、その、売れなくて
困ってるビルがあってね・・・・・
チヒナ それとあたしとどういう関係があるわけ?
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