ハザマのできごと
『ハザマのできごと』
少女
姉
少女 （声のみ）ええええ！
明るくなるとそこは少女の部屋。少女は布団の方を見て、固まっている。
が、ゆっくりと起き上がり、布団の上を見て、勢いよく部屋の隅へ逃げる。
少女 ありえない、ありえない、ありえない。そんなわけないじゃん。だって、ねぇ
布団の方をチラ見。
少女 ありえない、ありえない、ありえない！常識的に考えて、そんなわけないっ
て。私がもう一人、いるなんて。でも……
今度はしっかりと布団の方を見る。
少女 私、だよね。なに、これ？どういうこと？なんで、こうなった？こうなった
んだ？えぇ〜と、えぇ〜と。あ、わかった！なんだ、簡単じゃん。夢！そう
よ、夢！なのよ。えい！
少女、自分のほっぺたをつねる。
少女 ほら、痛い！痛いだけじゃん。夢じゃないじゃん。現実ですじゃん。じゃあ、
あれかな？
布団を見る。
少女 私、死んじゃった？
じっと布団の方を見つめる。そして、その場にがっくりうなだれ、泣きだす。
少女 あっちが本体。こっちは幽霊。あぁ〜死んじゃったんだぁ！心臓発作とか？
脳出血とか？夏だから、脱水症とか？やだよ、死んじゃうの〜
その場に大の字に寝ころび、手足をばたばたさせ、駄々をこね始める
少女 いやだ、いやだ、いやだ！まだ死にたくないよぉ！まだやりたいこと、いっ
ぱいあるよぉ。ゲーム、やりたいよぉ！夏フェスにも行きたいよぉ！大学の
学食メニュー制覇したいよぉ！恋人だって……
少女、がばっと起き上がる
少女 好きなのに、もう、ダメなんだ。もうダメなんだ〜！
ばたんっと大の字に寝ころぶ。静かに泣き始める。だんだん声が大きくなる。
体をくねらせ、泣く。その後、ゆっくり仰向けになって天井を仰ぐ。
少女 あぁ〜あ。死んじゃった。このあと、どうしよう？
布団の方を見る。
少女 なに、あれ？もっとかわいい服着とけばよかった。Tシャツに短パンって、
男の子と変わんないじゃん。髪も寝汗でべたべたしてるし。だっさぁい。
起き上がり、部屋の中を見回す。
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