四人芝居「銀河鉄道いじめぼうし協会」
中・高生を対象に、いじめについて考える劇
四人芝居「銀河鉄道いじめぼうし協会」(一幕五場)
<font size="4">−中・高生を対象に、いじめについて考える劇−
2012.7.26
【登場人物】
ジョバンニ いじめられている生徒
カンパネルラ ジョバンニの親友
ザネリ いじめている生徒
賢治先生 銀河鉄道の車掌
主要な登場人物はこの四人です。その他には、
生徒たち 黒子の衣装で数人、一箇所しか台詞はありません。
先生の声 男の先生でも女の先生でもかまいません。声だけの出演。
【まえがき】
この劇は、中学生(あるいは高校生)を想定した、いじめ防止を訴えるための脚本です。
文学性よりもいじめを考える材料を提供したいという思いで書いたものです。
ジョバンニは、ザネリにいじめられています。プロレスごっこと言って技をかけられて、クサイ、キモイと
言われています。もう死んでしまいたいと思い詰めたとき、ふと、先日駅前で配られていた、いのちの電話の
チラシを見つけます。そこにあったメルアドにメールを送ります。すると、ぼうしの入った箱が宅配されて
きたのです。持ってきたのは、宮沢賢治を名乗る宅配業者です。
さて、これから物語はどういうふうに展開していくのでしょうか。ジョバンニのいじめはなくなるのでしょうか。
あとは、観てのおたのしみ。
【では、はじまりはじまり】
ナレーター 「これから、『銀河鉄道いじめぼうし協会』という劇を上演します。
みなさんは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』という童話を読んだことがありますか。ジョバンニという少年が
主人公で、親友のカンパネルラと銀河鉄道の旅をするという物語です。
ザネリといういじめっこも出てきます。
この旅、一見すると宇宙旅行のようですが、
実は、星祭りの夜、水に落ちたザネリを助けるために河に飛び込んで亡くなったカンパネルラを、
天国に送り届ける旅なのです。まだ読んでいない方はぜひ読んでください。
さて、これからはじまる劇『銀河鉄道いじめぼうし協会』にもこれらの人物が登場します。
作者の宮沢賢治も賢治先生として登場します。
それでは、出演者を紹介しましょう。
まず、主人公のジョバンニです(ジョバンニ登場)。彼は、ザネリにいじめられています。
どうしてなのか、理由ははっきりとはわかりません。ただ、クラスの中で
いつも彼だけがいじめられるのです。
つぎに親友のカンパネルラ(カンパネルラ登場)。彼のセリフは少ないですが、大切な人物です。
三人目がザネリ(ザネリ登場)。先ほどから言っているように、彼がジョバンニをいじめている張本人です。
そんなふうに見えませんか? いじめっこほど見かけによらないものはありませんからね。
そして、宮沢賢治、彼は賢治先生と呼ばれていますし、また銀河鉄道の車掌でもあります。なぞの人物です。
他に黒子の衣装をつけた生徒たちと先生の声が登場しますが、これは紹介するまでもないでしょう。
では、劇をはじめることにしましょう。」
【一場】
(教室、机と椅子、二組。ジョバンニとザネリ、教室の椅子に座っている。制服のカッターシャツにズボン。)
(舞台は暗いまま、背景の映写幕に星空と銀河が映る)
先生の声 「ではみなさんは、そういうふうに川だと言われたり、
乳の流れたあとだと言われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか?」(注1)
生徒たち (「ハイ」、「ハイ」と手を挙げる)
(椅子に座ったジョバンニにスポットライトがあたる。ジョバンニは手をあげようとして
しばらく躊躇しているが、結局挙げることができない。)
先生の声 「ジョバンニさん。あなたにはわかっているのでしょう。」
(ジョバンニは勢いよく立ちあがるが、答えることができない。)
(椅子に座ったザネリにもスポットライトがあたる。)
ザネリ 「ジョバンニ、答えろや」(と、ジョバンニの椅子を蹴り、バカにしたように笑う。)
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