あらすじ
舞台は和歌山県 紀伊半島南部に位置する架空の港町 勇魚町(いさなちょう・いさなとはクジラの古名)。この町には、大昔にクジラが凍ったまま海底の奥底で眠っているという伝説がある。鮫島凪子はどんよりと暗く、湿った魚の匂いが充満する故郷が好きになれなかった。ただ大地主で町長の息子 鯨井海夏人とは何かと馬が合い、静かに友情を深めあう。しかし、高校3年の冬。将来のことで言い合いになり、気まずい雰囲気のまま、ふたりは離ればなれに。
それから、9年後。あることがキッカケで故郷に足を運んだ凪子は、海夏人に瓜二つの弟 海渡に出会う。お互いの知られざる秘めた想いが交差したとき、ゆっくりと歯車が噛み合い、止まっていた日々が動き出すのだった。