あらすじ
外周にぐるりと吊るされたカンテラの灯。
骸のように聳えた建造物が立ち並び、天を覆う。
常に空気は薄暗く、陽の光が地を照らすことはない。
――そこは、「カンテラ町」。
青白く揺れる灯がともる町。
その光は、彼岸の者から身を守り、
彼岸の者を逃さない。
生まれた時から「悪食」と称され
忌みられてきた彼の者。
暗がりの続く道筋の途中、
一人の医者に憧憬を
一人の法師に敬愛を抱いた。
どちらも「人間」だった。
喰らい、奪い続けてきた自分でも
彼らのような暖かい灯になれるだろうか。
カンテラ町の夜が明ける。
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【登場人物】
・紫雲(しうん)(♂)
・九厓(くがい)(♂)
・水月(すいげつ)(不問)
・菖蒲(あやめ)(♀)