あらすじ
外周にぐるりと吊るされたカンテラの灯。
骸のように聳えた建造物が立ち並び、天を覆う。
常に空気は薄暗く、陽の光が地を照らすことはない。
――そこは、「カンテラ町」。
青白く揺れる灯がともる町。
その光は、彼岸の者から身を守り、
彼岸の者を逃さない。
「三番街」に住む兄妹、惣介と菫。
妹の菫は、毎夜、悪夢にうなされている。
血塗られた化け物が、自分を追い、
喰おうとしてくるのだ。
手を握る兄の姿。
――心配するな、俺はここにいる。
一方、「二番街」のとある診療所。
薬師の紫雲と、古い知人が歓談している。
男の名は「骨董屋」、荼毘丸。
彼の取引対象は、黄泉の国にまで及ぶ。
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【登場人物】
・紫雲(しうん)(♂)
・荼毘丸(だびまる)(♂)
・惣介(そうすけ)(♂)
・菫(すみれ)(♀)