あらすじ
外周にぐるりと吊るされたカンテラの灯。
骸のように聳えた建造物が立ち並び、天を覆う。
常に空気は薄暗く、陽の光が地を照らすことはない。
――そこは、「カンテラ町」。
青白く揺れる灯がともる町。
その光は、彼岸の者から身を守り、
彼岸の者を逃さない。
「五番街」にて強固な錠を売る、
「錠前屋」麻由良。
通りかかった紫雲が、並べられた品物を覗き込む。
欲望は受け入れ、飼いならす。
際限なく溢れる奔流ならば、
蓋をすることなど無意味だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【登場人物】
・紫雲(しうん)(♂)
・麻由良(まゆら)(♀)
・義郎(ぎろう)(♂)
・義郎の母(♀)