あらすじ
「早く・・・下山しなきゃ・・・行かないと・・・。」
ここは何もかもが氷点下。吹雪が猛威を振るう、険しい雪山。
横たわった男を引きずって山を下りる女、不運な遭難者、何かを隠した登山家。
彼らがこの山で出会ったのは必然。彼らの人生を狂わせた「縁」であった。
複雑に絡み合う関係性と、それぞれの「愛」のかたちが、彼らの運命を交差させる。
吹雪は止まない。先は見えない、一面の白銀。
駆け落ち?心中?自殺?捜索?一体それは何の為?
皮膚は感覚を失い、息は白く凍る。自らの命が残り少ないことを悟る。
しかしそれでもやらなければいけない事がある。
下山しなければいけない理由がある。
これは、何の変哲もない、幸せになるはずだった者達の、愛の話。