あらすじ
賢治車掌(宮沢賢治)が、銀河鉄道の駅の近くの展望台から望遠鏡を覗いていると、地球がピカッとひかったというのです。 そもそも地球は惑星ですから、自らはひかりません。ふだんは宇宙の闇の中にまぎれているのですが、 その日はなぜか一瞬ひかりを発したのです。賢治車掌は、目のいいよだかにひかりのことをたしかめてから、 賢治ファミリーのクーボー大博士にピカの説明を求めます。そこで明らかになるのは、おどろくべき可能性です。 博士の話によると、ここの展望台は地球から79光年離れていて、 あのピカは、昭和20年、広島に落とされた原爆のピカがつい先ほどこの銀河鉄道の駅に届いた のではないかとというのです。 ひかりを追いかけるように竃猫からの電報が届いたと月夜のでんしんばしらが持ってきます。 竃猫は、広島にある猫の事務所に四番書記として勤務しているのです。 電文でもたらされた広島の被害状況は悲惨なものです。電文は、竃猫が飼われている家の主人である 原民喜の詩です。
賢治車掌は、ピカの正体を知って、さてどうなりますことやら、最後までお付き合い賜りますよう、 よろしくお願い申し上げます。……