ねこの森には帰れない
〜Nに捧げる物語〜

◆ CAST

   つぶ
   まめ   
   梅バー
   シゲ
   リボン
   イケメン
   てん


    ◆時;現代  ◆季節;12月頃
    ◆場所;主に、ペンションのピアノのあるホール

       

プロローグ
              音楽
              まめにサスが入る


まめ  昨日、手紙が届きました。とても不思議な手紙。
    差出人を見て、暫く考えて、封筒を光に透かして、また考えて。
    切手や文字をちょっとの間眺めて、そっと封を切りました。


               つぶにサス


つぶ  お元気ですか? もう随分会えずに居るので、皆どうしているのか心配してます。
    むつきさんが「ねこの森」を捜しに旅立ってから丁度一年経ちました。
    まだ頼りは届きません。きっと今も捜しているんだと思います。
    だから、「ねこの森」を捜しに行ったむつきちゃんにエールを送る会を開催します。
    是非ご参加ください。  
    ペンション猫森ハウス主人 つぶより。


                つぶ消える


まめ  「ねこの森」はむつきちゃんのおばあちゃんから聞いた言い伝えです。
     恐ろしい迷いの森の向こうには、猫達の楽園「ねこの森」があるのです。
     年老いた猫や、ふいっと遊びに出かけた猫がそのまま帰って来ないのは「ねこの森」に帰ったから。
     そこではどんな猫でも幸せに自由に暮らしていて、しかも彼らは二本足で歩いているというのです。

つぶ  「猫は本当は人間と同じように二本足で歩けるし、頭だって人間と同じ位良いんだよ。
    でも、人間に知られると殺されたり実験体にされてしまうから、人間の居る所では
    四本足のふりをしているのさ。
    でもね、気づかれないように彼らをそーっと観察してご覧。
    時々、四本足で歩くのに疲れて立ち上がってるから。」


まめ  むつきちゃんのおばあちゃんは笑いながらそう言いました。
    「ねこの森」は猫にしか辿り着けない場所。
    人間は、その手前に立ちはだかる「迷いの森」で迷子になってしまうから。
    むつきちゃんも、私も、幼なじみの皆もこの「ねこの森」の話が大好きでした。
    いつか皆で捜しに行きたいと話していました。
    でも…だから…まさか…
    むつきちゃんが一人で捜しに行ってしまうなんて、誰も、夢にも思っていなかったのです。
1/32

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム