演劇部、万歳!
 「演劇部、万歳!」 

                           作:澤根 孝浩

−登場人物−

・高山 純 (17) 高校2年生 演劇部 脚本・役者
・須田 宏美(18) 高校3年生 演劇部 部長・役者
・尾島 理子(16) 高校1年生 演劇部 新人
・佐藤 優 (18) 高校3年生 演劇部 役者
・安  杏子(16) 高校1年生 演劇部 役者



    (照明)地明かり、フェイドイン。

    演劇部の部室(稽古場)である。
    舞台上には、高山、優、杏子が発声練習をしている。
    発声練習を終え、ストレッチに入る。
杏子:今日って、配役の発表、あるんですよね?
優 :うん、宏美、そう言ってたね。
杏子:わたしの役って、ありますかね?
優 :そりゃ、あるでしょ。高山が人数分の役の入った台本を書いたんだから。
高山:はい、それは大丈夫です。
杏子:やった…。わたしの初舞台! あのあの、わたし、どんな役なんですか!?
高山:えっと、杏ちゃんは、22歳の女性役…。明るくて元気な。
杏子:すっごい! わたしにぴったり!
高山:お母さんとお見合いの帰りにバーに立ち寄ってね…。
優 :こらっ、二人とも。配役は演出の宏美の決めることよ。勝手に盛り上がらないの!
杏子:はーい…。でも、今度の台本、高山先輩がほとんどあてがきで書いたんですよね?
優 :それでもダメ。
高山:すいません、わたしも調子に乗っちゃって。
優 :もういいよ。良かったじゃん。高山、一年の部に入ったときからずっと自分で台本、   書きたいって言ってて、やっと願いが叶って。
高山:あ、はい。前の部長はオリジナルの台本なんて絶対にやらないって言われてました   から。
杏子:須田部長はオッケーだったんですか?
高山:うん。どんなものが書きたいか説明したら、「書いてごらん」って言ってくれて、   嬉しかったなぁ。
優 :夢の世界にあるバーの話だっけ?
高山:はい、心に傷を負った人間が眠っている間に訪れる、夢の世界にあるバーが舞台で   す。主人公はそこに訪れる恋人を失った女性。この役はもちろん優先輩!
優 :だから、配役の話は…。
高山:わかってます! でも、絶対にこの役は優先輩に決まってます!
優 :もう…。



    そこに宏美が入ってくる。手には人数分の台本を持っている。
杏子:部長ー。待ってましたー。
高山:あ、お疲れ様です。
宏美:ごめんね。台本を印刷するのに手間取っちゃって。発声と柔軟は終わってる?
優 :終わってるよ。
宏美:ありがとう。
杏子:部長ぉ。だ・い・ほ・ん!
宏美:わかった、わかった。
    台本を杏子に手渡す宏美。
    その台本を皆に配っていく杏子。
    皆、各々、台本を開く。
宏美:みんな、すぐに読みたい気持ちはわかるけど、一度、置いてくれる?
    皆、名残惜しそうに台本を置く。
    その様子を見て、口を開く宏美。
宏美:はい、それじゃ、次の大会に向けての初稽古になるので、改めて、演出として挨拶   …っていうか、作品について、演出としてのプランを言ってきたいと思います。
杏子:格好いいー。
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