僕らはみんな生きている
「僕らはみんな生きている」
                        第47回高知県高等学校演劇コンクール
                        高知南高等学校上演台本

                              作 西岡 椿

★登場人物

竹内 空・・・                             
加藤 海・・・            
山田 歩・・・               
浅野先生・・・                       
島田先生・・・                  
竹内彩美・・・                           
高木和美・・・        
安西道子・・・     
西岡部長・・・     
舞監川村・・・

0・プロローグ・・

        音楽。
        人影がゆっくりと様々に交差しながら動いている。
        無声音で「僕らはみんな生きている」と、うめくように叫んでいる。
        ぼんやり明るくなる。
        舞台、下手奥にやや高い通路(時には、屋上、時には通路となる。)。続いて、降りる階段。
        通路の手前には、金属製の様々に組み合わされた棚がある。
        さらに、舞台前面に、様々に配置されたさいころがある。
        交差するように人々は、さいころをぬってスローモーションのごとく動く。いろいろな生活を背負って。
        あるものは、通勤の感じ、あるものは、遊びに行くかもしれない。一人で、あるいは連れ立って。あるいは楽しそうに、あるいは不        機嫌に。
        高い通路に、赤いベンチがありその上に空が立っている。
            空は、通り過ぎていく人々をみている。

空  :屋上のベンチから見ると、なにもかも不思議に遠くて、近い。出入り口のドアを閉めると、ここは私だけの開かれた密室になる。街中を見渡   すことができ、街中の音を聞くことができる。それは、どこへも行けないからだ。私は、屋上が好きだ。なぜなら、どこへも行けそうだから。ど   こでもありそうで、どこでもない場所だから。何の役にも立ちそうにない場所だから。私はここが好きだ。見回すと、私の住む街が見える。たぶ   んあそこでは生活というものが繰り広げられているらしい。私は、それを見てなんだか無性にむかつく。どこにも行きたいところがないからだ。   だから、私はたぶん今日もどこへも行かないだろうと思う。

        人々は、なおもゆっくりと通り過ぎてはやってくる。
        突然、携帯が鳴る。

空  :もしもし、はい、はいそうです。あ、メッセージ聞いてくれたんだ。うん。今から?うん、時間あるけど。うん。分かったじゃあ、何処で待   ち合わせする?うん、分かった大丈夫だって、ちゃんと行くから。噴水のところね、どんな格好してるの?うん、スーツ。分かった、それじゃ、   後でね。

            携帯を切る。
            化粧品を取り出す。

空  :(口紅を塗りながら)サラリーマン・・・・か。(塗り終えて)行こっか。

        人々も通らなくなった。
        空は、上手を向けられた階段を下りようとして、一度、振り返り空を見上げ、出入り口のドア(があると想定して)を丁寧に閉める。
        階段を下りて、そのまま去る。
        溶暗。  
       
1.登校

        「新しい朝がきた・・」とけたたましい音楽。
        ぱっと明るくなる。
        登校風景。
        校門の形に並べられたさいころが関所のように立っている。
        音楽とともに、ウサギ飛びでやってくる島田。
        その後を、チェック用の下敷きを持ち、むちを振り振り浅野がやってくる。
        見方によれば、調教しているようにも見える。

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