お医者さんの事情
「お医者さんの事情」
登場人物
若  (わか):病院の若院長
横田(よこた):新人医師
広 (ひろし):若い患者

   病院の一室
   中割りより奥の上手にイス二つと机、下手にベッドがある。
   若、一人カルテを書いている
   机の上にはブックエンドいっぱいのファイルと電話。
   ノックのSE
若  「はいよ。」
   横田、入る
横田 「あのー。」
   若、椅子を指差す
   横田、ささっと座る
   若、横田のほうを見ずカルテを書きつづける
若  「名前は?」
横田 「あ、横田茂です。」
若  「歳は?」
横田 「あ、23」
若  「ふむ、まあまあ、若いか。守備範囲だ。」
横田 「え」 
   若、横田を見てビクッとする
若  「…ああ!?」
横田 「え、え!?」
若  「わあああ!?」
   若、横田を指差し驚きまくる
横田 「うわああああ!!」
   なんだか分からず横田も驚く
若  「だああああ!?」
横田 「はああああ!?」
若  「うわあああん!!」
   突然泣き出す若
横田 「え?」
若  「男なんか嫌いだ〜」
横田 「は、はあ?」
   若、泣きまねをやめて笑顔で
若  「だから、帰りたまえ」
横田 「え、あの、僕は今日から研修で」
   少しの間の後、急にキリッとする若
若  「わかってるよ横田くん。冗談だよ冗談、ワハハハ!」
横田 「あなたが若先生…ですか。」
若  「若でよいぞ。若かろう?」
横田 「おいくつですか。」
若  「二十だ。」
横田 「…よく医者になれましたね、免許持ってるんですか?」
若  「ん?ああ持ってるぞ」
   若、おもむろにポケットなどを探る
横田 「車の免許じゃないですよ?」
   若止まる
若  「ハハハハ、何を言ってるのかね横田君。」
横田 「アハハハ」
若  「はい、これ」
   免許らしきものを渡す若
横田 「あ、これですか…ん?なんか質素ですね」
若  「私の家のカードキー」
横田 「……え?」
若  「うん、もう、鈍いんだから。こんやはか・え・さ・な・い!」
横田 「ひいいいい!」
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