オトシモノ
オトシモノ

登場人物
A 賭博ばかりしている男
B 見るからに怪しい男

公園に男が一人、目の前には財布が一つ落ちている

A:…。(財布を見て悩んでいる)
財布の周りをうろうろする
A:うーん…。拾うべきか、拾わないべきか。いや拾いたい。
拾おうとするが直前で止まる
A:待てよ、ここで拾ったら警察に届けなきゃいけないのか?
  そしたら、ただのいい人で終ってしまう。かといってこれを持ち帰ったら
  ただの泥棒になってしまう…。
再び悩む
A:俺のなかで天使と悪魔が戦っているぅ…。
(悪魔)なーに悩んでんだよ。誰も見てないんだから、持ってちゃえば
  いいんだよ。さあ拾っちゃえよ。
(天使)ダメだ!中身を見てちゃんとお金が入っているか確認してから
持っていかないと。
A:いかんいかん。どっちも悪魔になってた…。
  どーしよう…。と、とりあえず中身を見てみよう。うん。それから考えればいいや。
財布を拾い中身を確認する
A:いち、に、さん…、きゅう、じゅう。一万円札が十枚…。ぴったり十万円だ。
  ダメだ!!額が大きすぎる!
  やっぱり明日の静香とのデート断ろう。
財布を元の場所に置いてはける
     入れ違いでBが出てくる
B:(財布に気づき)あれっ?財布だ。
財布を拾い中身を見る
B:…、十万円!?!?
  (周りを気にして)誰もいないよな…。
その姿を後ろでこっそりAが見ている
B:なんてついてる日だ。
     帰ろうとするB
A:ちょっと待って下さい!
B:はい、なんですか?(白々しく)
A:今、財布拾いませんでした?
B:え〜っと、はい…拾いましたよ。そうそう今から交番に届けようと思って。
A:交番にねぇ。
B:ええ。交番に。
A:実はそれ僕の財布なんですよ。
B:えっ!!
A:だから返して下さい。
B:え〜っと…。
A:早く。
     Bに近づくA
B:ちょちょ、ちょっと待ってくださいよ!
A:なに?
B:これがあなたの財布だって証拠はあるんですか?
A:そんなのおかしいでしょ。俺の財布なんだから。
B:もしかしたら、あなたがただの泥棒かもしれないじゃないですか。
A:おいおい、変なこと言うなよ。
B:じゃあちゃんと証拠を言って下さいよ。
A:証拠って言ったって…。
B:証拠、ないんですか?
A:…あるよ。十万だ。その財布には十万円が入ってる。これでいいだろ?
B:確かに入ってますね。
A:さあ返してくれ。
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