星に願いを

(ほしにねがいを)
初演日:0/0 作者:いるか・紆劉
■登場人物■

■星野 綺羅(ほしの きら) ♀ 9歳
 ・両親の記憶が無い。
 ・孤児院で生活している。
 ・警戒心という概念が無い。
 ・おっちょこちょい。
 ・時々人の考えないことをやらかす不思議っ子。

■月野 沙耶(つきの さや) ♀ 18歳
 ・双子の兄弟の姉。
 ・他人思い、兄貴重い。僕のことは二の次。
 ・涙腺が緩い。
 ・冒険しない、おとなしい。
 ・高校3年生、春休みを過ぎたら、大学一年生。

■月野 伸治(つきの しんじ)♂ 18歳
 ・双子の兄弟の沙耶を双子の姉に持つ。
 ・好奇心旺盛、何にでも首を突っ込む。
 ・他人をほっておけない性格。
 ・結構なファザコン(亡くなった父に対しての)。
 ・高校3年生、春休みを過ぎたら、大学一年生。

■月野(遠藤) 久遠(えんどう:つきの くおん)♂ 30歳
 ・月野家に来た新しい父。
 ・実家はパン屋
 ・聡明で理性的。
 ・仕事に対してのプライドは高い。
 ・温和。
 ・家族のこととなると一歩引いた立場の言動を行う。

■月野 麻由(つきの まゆ) ♀ 38歳
 ・月野家の母
 ・しっかりしているようでおっちょこちょい。
 ・優しく寛容。
 ・人懐っこい。
 ・時々普通の人では考えられない発想をする。
 ・どちらかと言うと天然キャラ。
 ・高校生以前の記憶が抜けている。

■瓜生   (うりゅう)   ♂ 35歳
 ・孤児院の委員長
 ・正義感が強く、公平。


CAST 早見表

星野 綺羅♀ 
月野(遠藤) 久遠♂ 
月野 麻由♀
月野 沙耶♀ 
月野 伸治♂ 
瓜生   ♂ 

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 (1場)
  朝、月野家パン屋売り場にて。

麻由:最近、パンの売れ行きが悪いわね……。転職でも考えようかしら。
 (間)
   ……アナタ。アナタに先立たれてもう6年ね。
   それからというもの、家業のパン屋さんがなかなか上手くいかないの。
   ……何がダメなのかしら?……やめた方がいいのかしら。
   と言うのもね、アナタ。アナタには内緒だったけど……
   3年前くらいからかな。お付き合いをしてる人がいるんです。
   その人とね……パン屋さんをやめて、
   新しい生活をしようかなって思ってるの……なんて、怒るかな。

伸治:怒るだろうな。

麻由:伸治……おはよう、盗み聞きなんていけないわ。

伸治:俺に気付かなかった母さんが悪い。
   日曜の朝早くに起こすんだ、何かあると思ったら……

沙耶:おはようお母さん。

麻由:おはよう沙耶。

沙耶:今日は気分がいいから、朝ご飯にパンだけはやめてよね。
   白いご飯がいい。

麻由:そういうわがまま言わないの。今日もお母さん、
   一生懸命パン作ったのよ?

沙耶:美味しくないんだって……。

伸治:それで?俺との話終わってねェよ?母さん。

沙耶:何の話?

伸治:母さんの新しい恋人の話。

沙耶:え、何それ!合わせてよ!

伸治:乗り気だな、お前。

沙耶:そりゃ、反対する理由がないもん。むしろ歓迎。
   やっぱり『父親』っていてほしいもん。

麻由:……今日伸治と沙耶に会って欲しくて……。

沙耶:いいよ〜。

伸治:断る、寝る。

沙耶:伸治、アンタ子供だよそれ。

麻由:会うだけ会ってほしいの。ね、お願い。

伸治:それでか…… 母さんがたまにどこか行くって外出してたの。

麻由:それは……ごめんなさい。

伸治:別に、息抜きだと思ってたから。大きく見れば間違ってねぇし?
   ただ、俺は認めない。

沙耶:あんたはお母さんの父親かよ……

麻由:……本当にごめんなさい。
   でも、天国のお父さんもきっと気に入ってくれると思う。
   すごくいい人なの。……空からきっと見守ってくれるはず。

伸治:どんな自信だよ。……ったくしょうがねェなァ……
   いつ来んの?彼氏さん。

麻由:伸治……!ありがとう。


  麻由 おずおず時計を見ながら


麻由:そろそろ来ると思うわ。
   あぁ、でも、ちょっと遅くなるかもしれないって言ってたし……

沙耶:そろそろって、まだ朝の7時じゃない。こんな時間に呼んだの?
  (間)
   どんな人かな〜。楽しみだね。いい人って言ってたし!

伸治:俺は楽しみじゃない。

麻由:伸治は、お父さんが本当に好きだったものね……。

伸治:今も大好きだよ。親父は一人でたくさんだ。


  SE【コンコン】


麻由:あ、きたみたい。

伸治:……マジか。

沙耶:楽しみ〜

麻由:いらっしゃい、久遠さん。

久遠:おはようございます。麻由さん。
   あ……皆さんお揃いで。おはようございます、
   朝早くからすみません。私、遠藤久遠といいます。

沙耶:おはようございます。

伸治:オハヨーゴザイマス。

久遠:話には聞いていますよ。伸治君に沙耶さんだよね。よろしく。

沙耶:こちらこそ、よろしくお願いします。
piza
伸治:よろしく。

麻由:う、え、えっと……この久遠さんと、今、お付き合いしています。
   それで、さっき話した通り……
   結婚もそろそろしようかなって思っているの。ね、久遠さん。

久遠:そう出来ればいいね。まずは、
   伸治君と沙耶さんと仲良くならなきゃね。

沙耶:……失礼ですが、久遠さんっておいくつなんですか?

久遠:今年で30になりました。

沙耶:それじゃぁ、お母さんより……

久遠:年下、ですね。

沙耶:通りで若く見えるはずだよ〜。
   結婚したらお母さん姉さん女房になるんだね。

麻由:そうね。でも、久遠さんしっかりしてるし、
   私よりも年上みたいな存在なのよ。

伸治:それはわかる。

麻由:ちょっと伸治、どういう意味?

沙耶:まぁ、いいじゃない。それよりご飯食べようよ。
   私おなかがすいた。

伸治:食うのか?パンだぞ?

沙耶:うっ……

麻由:朝ご飯の用意はできてますよ。さぁさぁ、みんなで食べましょう?

沙耶:やっぱり食べたくない……

久遠:どうしてだい?

沙耶:……美味しくないから……

久遠:そうなのかい?でもみんなで食べるパン、美味しいんじゃないかな。


  久遠、麻由、沙耶やや明るめに談笑(無音)。伸治黙りこむ。後、
 (暗転)
  中央に久遠と麻由。
 (明転)


麻由:久遠さんも、やっぱり私のパン、おいしくなかった?

久遠:……食べられないわけでは無かったよ?でも、一般の人はどうなんだろうね。

麻由:……私って味音痴なのかしら?

久遠:どうなんだろう。
   でも、そう心配するなら、これからは周りの人の意見を取り入れたらいいんじゃないかな。

麻由:そうね……あぁ、うちの子供たちはどうだった?

久遠:君が言ってた通り、とても素敵な二人だったよ。

麻由:そう、そう言ってもらえると嬉しいわ。

久遠:ただ……

麻由:ただ?

久遠:本当に僕等が結婚するなら、沙耶さんにも伸治君にも納得してほしい。

麻由:……伸治のことよね。ごめんなさいね、気を悪くしちゃったかしら……

久遠:そんなことないよ。
   むしろ、通らなければいけない道だと思っていたからね。

麻由:私からちゃんと言うわ。分かってもらう。

久遠:いいや。

麻由:久遠さん?

久遠:これは、僕がちゃんとしなきゃいけない事だよ。
   だから、僕に任せてほしい。

麻由:……わかったわ。

久遠:……麻由さん。

麻由:どうしたの?久遠さん。

久遠:近いうち、どこかにみんなで行けないかな……
   もっと二人を知りたいし、仲良くなりたいんだ。


  久遠、麻由話し込むジェスチャー、後
 (暗転)
 (第2場)
  日曜、海にて、バーベキュー
 (明転)

沙耶:久しぶりに、海に来た〜。もう9月だってのに、暑いね〜。
   日焼け止め塗ってきてよかった。

麻由:今日のメインは上カルビよ。みんなで楽しく食べましょうね。

沙耶:やったー。いっぱい食べよ……ぁ……でも、太るかな。

伸治:いまさら……

沙耶:なによ。その言い方〜!!!

久遠:二人とも。今日は楽しく……ね。喧嘩は無し。

沙耶:はぁ〜い。

伸治:……

久遠:……今日は、ありがとう。

伸治:は?何の事ですか?

久遠:今日誘いに乗ってくれた事。不安だったんだ。

伸治:……母さんに入れ知恵したの、遠藤さんだろ?

久遠:何の事ですか?

伸治:母さんに『久遠さんにみんなで海でバーベキューでもしようって
   言われてるの。でも、予定があるならそっちを最優先してね。
   無理には誘わないわ。』て言われたら、予定がない限り断れないだろ。
   空気壊しちまうんだから。

久遠:伸治君は優しいんですね。

伸治:そんなことねぇけど。

久遠:……伸治君。

伸治:何すか?

久遠:僕は、結婚を急ぐ気はないんだ。
   ちゃんと君や沙耶さんに納得してもらって、その上でいい家庭を作りたい。

伸治:……そ。

久遠:だから、安心してほしい。君が僕を受け入れてくれるまで待つ。
   約束する。

伸治:……一生来ないかもよ?

久遠:そうならないように、頑張るさ。
   ……でも、できる事なら少しずつでも僕を見てほしいな。

伸治:……

久遠:でないと、麻由さんと結婚できないからね。

麻由:ねぇ、伸治、沙耶、飲み物買ってきて。忘れちゃったみたい。

伸治:はぁ。相変わらず母さんは天然だねぇ。

久遠:あはは。

沙耶:いいじゃん、行こうよ。

伸治:へいへい、わかったよ。


  久遠、麻由、下手に下がる。
  伸治と沙耶は上手に向かって歩くように足踏み。


伸治:なぁ、沙耶。

沙耶:なぁに?

伸治:遠藤さんのことどう思う?

沙耶:いい人だと思う。お母さんと結婚してほしいな。

伸治:親父のこと忘れたのかよ!

沙耶:……そんなことないよ。

伸治:……ごめん。確かに、遠藤さんは、
   親父に似てるところはあるけど。

沙耶:伸治は受け入れられないんだね。

伸治:……本当の親父じゃないんだぞ。似ててもさ。

沙耶:伸治は相当なファザコンだもんね。

伸治:うるさい。

沙耶:でもさ、お母さんの幸せも考えてあげてよ。お母さんだって、寂しいはずだよ?

伸治:なんでだよ。

沙耶:だってこれから、私たち巣立っていくんだから。

伸治:……馬鹿、それはお前だけだ。
  (間)
   遠藤さんと母さんが結婚したら、
   あの人の老後は俺が見るってことなんだからな。

沙耶:……んもうっ!屁理屈!深く考えないの!
   ほら、早く帰るよ。飲み物買ったんだから。

伸治:あぁ。


  久遠、麻由、下手から登場。
  伸治と沙耶は下手に向かって歩くように足踏み。


沙耶:買ってきたよ〜。ウーロン茶とコーラ。

麻由:ご苦労さま。

久遠:ありがとう。お肉、焼けてるよ。ほら、どんどん食べて。

沙耶:いいの?

麻由:実はお先に、久遠さんと食べちゃったんだけどね。ちょっと。

沙耶:えー、本当!?

久遠:……実はね。さぁ、だから気にせず食べて食べて。

沙耶:頂きま〜す。

伸治:……うまい。

久遠:そうかい?

伸治:あ……うん。

沙耶:伸治〜。そんな顔してるとあたしが全部食べちゃうんだからね?

伸治:お前……太る事気にしてなかったか?

沙耶:今日は楽しむの!心もお腹もね!

伸治:あ、そう。

沙耶:にしてもさ、久遠さんって、優しいよねほんと。
   自分の休み使ってこんなことしてくれたし。

久遠:そんなことないよ。むしろ優しいのは沙耶ちゃんたちさ。
   僕の休みにつきあってくれたんだからね。

沙耶:それに、こんなにおいしいお肉を御馳走してくれたし!

伸治:食いものでつられたか。

沙耶:うるさい。……あのさ。もしよかったら……
   まだ早いけど、「パパ」って呼んでいい?

麻由:沙耶、いくらなんでも……

久遠:え、そう呼んでもらえるのかい?

沙耶:うん!

久遠:ありがとう、嬉しいよ。

沙耶:だって。お母さん、いいでしょ?

麻由:……久遠さんがいいならいいですけどね。

沙耶:じゃぁ、「パパ」で決定!

久遠:さて、そろそろ、トウモロコシも焼こうかな……

沙耶:ねぇパパ、パパは本当にパパになってくれるんでしょ。

伸治:どーだろうね。

久遠:……そうだね、そうなれたら嬉しいな。

伸治:……

麻由:久遠さん……。


  3人の楽しい声、伸治だけ、少し浮かれない声で雑談(無音)、後、
 (暗転)
  その後、セットを暗くし、夜の演出を加え、後、
 (明転)


麻由:やっぱり9月ね。日の沈むのが早いわ。

久遠:実は、花火もってきてるんだ。みんなでやるかい?

伸治:俺パス。先帰るわ。

麻由:ぇ……ぁ、伸治!

久遠:……そっとしておいてあげよう。

麻由:ごめんなさいね。

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