偽ゴッドファーザー

(にせごっどふぁーざー)
初演日:0/0 作者:今野洋二朗
【偽ゴッドファーザー】


 登場人物 

 店長   :  阿部(39)
 店員A  :  高畑(20)
 店員B  :  鶴田(22)
 店員C  :  由佳(25)
 客A   :  田村(33)
 客B   :  松下(25)


○イタリア風居酒屋・厨房内(夜) 

 8畳程のきれいな厨房内に店長の阿部(39)が一人スパゲッティ等の料理をしている。そこに店員の立花(20)が入ってくる。

立花「店長やばいっす、ゴッドファーザーきました」
阿部「・・・ゴッドファーザー?」
立花「はい」
阿部「ゴッドファーザーって、あの?・・・・・いやいやいやいや、こないでしょ」
立花「それが来たんですよ」
阿部「ゴッドファーザーが?」
立花「ゴッドファーザーが」
阿部「・・・いやいやいや、来ないって」
立花「ほんとに来たんですって」
阿部「・・・どれどれ、それじゃちょっと見てこよう」
立花「違いますよ、カクテルですよ。カクテル」
阿部「ああー、カクテル。なんだ注文ね・・・・・ってそんなカクテルあった?」
立花「あったみたいっすね」
 
 そこに鶴田(22)が厨房に入ってくる。

鶴田「どうした?」
立花「あ、ゴッドファーザーきたんですよ」
鶴田「ゴッドファーザー?」
立花「ええ」

 間

鶴田「・・・・・いやいやいやいや、こないでしょ」
立花「それがきたんですよ」
鶴田「まじで? どれどれ、ちょっと見てこよう」
立花「違いますよ、カクテルですよ。カクテル」
鶴田「ああー、注文ね・・・・ってそんなカクテルあった?」
立花「あったみたいっすね」

 そこに由佳(25)が厨房に入ってくる。

由佳「どうしたの?」
立花「ゴッドファーザーがきたんですよ」
由佳「ええ? ゴッドファーザー?」
立花「はい」

 間

由佳「・・・・・いやいやいやいや、こないでしょ」
立花「それがきたんですよ」
由佳「へぇ、どれどれ、」
阿部「ってもういいわ! そのやりとり。まわりくどいわ」
立花「カクテルなんですよ、注文で」
由佳「ああ、注文ね。え、カクテル? そんなカクテルあったっけ?」
立花「あったみたいっすね」
由佳「ゴッドファーザーなんて聞いたことないけど。で、誰が作るの?」
一同「(阿部を見る)・・・」
阿部「・・・・・え、俺?」
鶴田「店長知らないんですか?」
店長「知らない、知らない。たぶんオーナーしか作れないやつだわ、それ」
一同「・・・」
由佳「誰も作れないんだあ。わあどうすんの?」
鶴田「ど、どうします? 店長」
立花「オーナー来るまで待ちます?」
阿部「いやあそれは無理だろ。オーナーなんてあと一時間以上来ないぞ」
由佳「とりあえず、それっぽいのでごまかしちゃうとか?」
阿部「ばかっ、お客様に対してそんな適当なことできないだろ」
鶴田「ここはやっぱりお客様に断るしかないんじゃないです?」
阿部「う〜ん・・・そうだなぁ。しょうがない、立花くん。お客様に丁重にお断りしてきなさい」
立花「(もじもじして)いやあ、でも今更断れないっすよ。なんていうか、その、なんかちょっと怖そうな感じの人だったんで・・・」
阿部「怖そう? おいおい、何を甘ったれたこと言ってるんだい、君は。(客がいるほうを覗きながら)お客様が怖そうとかってね。ど
   この席?」
立花「窓側の一番奥です」
阿部「お客様に対してそんなねえ、失礼・・・・・・・・・」
由佳「どうしたの?」

 由佳と鶴田も店内を見渡し、客がいるほうを見る。

阿部「立花くん、ゴッドファーザー来ましたって・・・ほんとに来てるじゃない。ゴッドファーザー、来てるじゃない」
立花「あれはちょっと断れないですよ」
阿部「鶴田君、あれはやっぱりそうなのかな? やっぱりあちらの方なのかな?」
鶴田「いやあ。あれはもう見事なまでにヤクザですね。360度ヤクザですね」
阿部「・・・」
立花「ですよね」
阿部「で、ヤクザが何頼んだんだっけ?」
立花「ゴッドファーザーです」
阿部「なるほど。ヤクザがゴッドファーザーね・・・・・。へえ、不思議」
由佳「不思議ではないでしょ」
阿部「あれかな。二人ともそうかな? 片方は普通っぽい人に見えるけど」
鶴田「店長。片方がヤクザなら、もう片方もヤクザではないでしょうか。仮にヤクザじゃなくても、ヤクザと一緒にごはんを食べたり、
   お酒飲んだりするくらいなんだから、少なくとも堅気の人間ではないのではないかと、思われます」
阿部「うむ。詳しい説明ありがとう鶴田君。えー、以上の情報をまとめると、ヤクザが、どっちのヤクザか知らんけど、ヤクザがゴッド
   ファーザーを頼んできた。いきなり。・・・という結果になります」
由佳「いきなりではないと思うけど」
阿部「なんでしょうか。オカマが、どこのオカマか知らんけど、オカマが性転換手術してもらった先生にオカマであることをカミングア
   ウトした。いきなり。みたいな。そんな状況でしょうか」
鶴田「だいたい近いと思います。いや知ってる知ってる。みたいな」
阿部「逆にリアクションとりづらいわ。みたいな」
由佳「で、結局断りに行くの? 行かないの?」
阿部「んんん〜・・・・・無理だな」
鶴田「ええ、無理でしょう」
由佳「やっぱりね」
鶴田「店長どうしましょうか? 断る。とういう選択肢はなくなったわけですけど」
阿部「う〜ん・・・」
立花「どうしましょう?」
鶴田「オーナーに電話して早く来てもらいますか?」
阿部「う〜ん・・・」
立花「店長、どうします?」
阿部「・・・よし! こういう手はどうだろう? もう、思い切って、それっぽいのでごまかしちゃう。っていうの」
由佳「それさっき言いましたよね」


○同・店内

 おしゃれな店内に合わないBGM(ロックとか)。
 客は数えるくらいしかいない。
 窓側の一番奥の席に、やくざ風な格好をした田村(33)がタバコをふかして座っている。テーブルを挟んで向かい側に、松下(25)
 が座っている。松下は窓から外を見て考え事をしている。

田村「あれ知ってる?」
松下「・・・・・」
田村「なあ、あれ知ってる? ボブディラン」
松下「え? あ、すいません・・・なんですか?」
田村「や、だからボブディランって知ってる?」
松下「ボブディラン?」
田村「ボブディラン」
松下「ああ、名前は聞いたことありますけど」
田村「アメリカの超有名なミュージシャン」
松下「へぇ、そうなんすか」
田村「じゃ、見たことないか」
松下「ないすね」
田村「ボブディラン、白人なんだって」
松下「・・・へぇ」
田村「バリバリの白人・・・黒人だと思っただろ?」
松下「いや、わかんないっす」
田村「黒人で、パッツンパッツンのズボン履いてるアフロヘアーだと思ってただろ?」
松下「・・・いや」
田村「(アフロのジェスチャーして)こ〜んな頭した奴想像してなかった?」
松下「・・・いや」
田村「俺もつい最近知ってさあ。いや、びっくりしちゃったよ。俺ずっと黒人アフロだとばっか思ってたから・・・まさかバリバリの白
   人だったなんてなあ? バリバリのクリスチャンだったなんてなあ? いやクリスチャンかどうかは知らんけど」
松下「・・・・・」
田村「・・・あれ? あんま興味なし?」
松下「すいません。一ミリも興味ないっす。クラシックバレエ並みに興味ないっす」
田村「あ、そう・・・」
松下「・・・」
田村「ま、俺も興味ないけどね」

 間

田村「実はさあ、今日俺グーニーズの夢みたんだけどさあ」
松下「グーニーズ?」
田村「ああグーニーズ。グーニーズ知ってる?」
松下「グーニーズ知ってます。観た事はないけど、なんとなく聞いたことはあります」
田村「じゃああれか、言ってもあんまわかんないか」
松下「そうですね」

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