二十年後への贈り物

(にじゅうねんごへのおくりもの)
初演日:0/0 作者:上野 小夜
野村由香…25歳くらい。中学生の頃いじめられていた。いじめられていて復讐をするため、タイムカプセルに作った爆弾を入れる。それから10年が経過し、結婚を控えて昔の清算をしに母校へやってくる
林田…20代前半。頭が悪い。頭が悪すぎて派遣でバイトをしてもすぐ首にされる。金がないため銀行強盗をするが、札束と間違えて伝票みたいなものを掴んで逃げてくる。
小林透…22歳くらい。バイトの警備員。やる気なし。覇気なし。使えない。
白石涼子…25歳くらい。野村の元同級生で野村をいじめていた。元元家が金持ちで自分に自信もあったが今は落ちぶれている
北村…30歳くらい。保身しか考えていない。金にがめつい。横領をしている。
後藤…28歳くらい。好青年。野村の婚約者。

シーン1 学校の中
冬の静かな日。閑散とした教室。そこに駆け込んでくる強盗。教室の中を見回し、誰もいないことを確かめて安心して座りこむ。ほっかむりを外す。

林田 助かった…。(持ってきた紙の束を見て)これだけか…はぁー。

 落ち込む強盗。そこにやってくる野村。

野村 あの。すみません。
林田 (びくっとして明らかに怪しい感じで)は、はい。何でしょうか?
野村 (男の様子には気付かず)こちらの学校の先生ですか?
林田 (きょとんとするが)慌てて、あ、はいそうです。
野村 お仕事お疲れ様です。私、55期卒業生の野村由香と申します。
林田 あ、すみません。どうも。
野村 初めまして(名前は?という視線)
林田 (視線の意味に気付いて)あ、すみません。僕は林田と言います。
野村 林田先生ですね。今日は片づけか何かですか?もう生徒はいないんですよね。
林田 (よく事情が飲み込めない感じで)はぁ、まぁそんなところです。
野村 でも、寂しいですよね。母校がなくなっちゃうのって…。
林田 はぁ…(今、思い出したという感じで)あ、そういえばこの学校つぶれるんでしたっけ??
野村 えっ?忘れてたんですか??この学校の先生、なんですよね…
林田 あ、いや。こうして毎日学校の整理とかしてるとねほら。つい生徒が来る様な気がしちゃって。あはははは。
野村 整理をしているのに、ですか?
林田 ま、まぁ僕の生活リズムは変わってないですし。
野村 (話をあわせる感じで)確かに、そんなもんかもしれませんね。
林田 (ほっとした感じで)そうです。そうなんですよ。それで、あなたは卒業生なんですよね?何をしにいらしたんですか?
野村 あ、私はそのタイムカプセルを探しに…
林田 タイムカプセル?
野村 はい。卒業の時に作った廃校になると聞いて取りに…。すみません、勝手に入ってしまって。(言い訳のように)受付に人もいなかったので。
林田 いえいえ、全然大丈夫ですよ。どこに埋めたんですか?
野村 いや、私たちは埋めなかったんです。埋めると文集とかが段々腐って傷むと聞いたので、資料室の戸棚に入れたんです。それが多分ここだと…。
林田 あぁそうなんですか。そういうことなら思う存分探してください。私は、ちょっと他の部屋に行きますので…
野村 すみません。何かありがとうございます。
林田 いえいえごゆっくり。

 林田、そそくさと退場。野村、1人でゆっくりと部屋の中を探す。椅子に座って懐かしそうに
ぼんやりする。

シーン2 舞台前方
 中央では野村そのまま。上手から北村が慌ててやってくる。下手から普通に歩いてくる白石。

北村 すみません、そこの君。
白石 (ふてぶてしく)何ですか?
北村 (一瞬ひるんでから、更に偉そうに)この辺で怪しい男を見なかったかね。
白石 さぁ?怪しい男と言われましても。怪しいといえば皆怪しいでしょ。
北村 そうじゃなくて、明らかに泥棒というようなほっかむりをかぶった男をみなかったかね。
白石 そんな人いるわけないじゃないですか?
北村 仕方ないだろう!!実際にそういう男に泥棒に入られたんだから!!
白石 何なんですか?あなた。急に話しかけてきてキレルなんて大人としてみっともないですよ。大体そんな怪しい男に泥棒に入られるなんてよっぽどセキュリティが甘いんじゃないですか?
北村 ほっといてくれ。うちは銀行だ!セキュリティは万全だよ。何も盗まないですぐ逃げられたんで、逆に追えなかったんだ!
白石 何も盗まれてないならいいじゃないですか。
北村 それは、そうだが…
白石 でしょう?
北村 いや、駄目だ我銀行の威信に関わる!ここはちゃんと逮捕してだな。毅然とした態度を示さなくては…
白石 私、関係ないのでもういいですか?
北村 なっ!生意気な小娘だな。まぁ、いい。とりあえず強盗がいたら私まで連絡をくれ。私は駅前のみずな銀行の北村という。覚えておけ。
白石 はいはい。みずなに行けばいいんでしょ。あなたの名前なんていちいち覚えていられないわ。
北村 銀行じゃ駄目だ!ちゃんと私、北村のところに教えてくれ!
白石 どうして?
北村 それはその…
白石 手柄を独り占めしたいのかもしれないけど私はそんなものに貢献する気はないから。それじゃ。

 上手へゆうゆうとはける白石。それを見送り、舌打ちして去る北村。

シーン3 教室の中
タイムカプセルを探す野村。そこにやってくる警備員。

小林 すみません。
野村 はい?
小林 俺、警備員なんだけどさ。お宅学校の人じゃないよね?何やってんの?
野村 あの、私すみません。ここの卒業生でタイムカプセルを探してまして…
小林 へー。今日同窓会でもあるの?そんな話聞いてなかったけどな。
野村 あ、そういうわけじゃないんです。ただ、廃校になるって聞いてその前に取りに来ようと思って…
小林 ま、俺は事件とか起こさなきゃ別にいいけど。
野村 すみません。
小林 何あんた事件起こすの?
野村 いや、起こさないです。すみません。
小林 じゃあまぁ頑張ってね。
野村 ありがとうございます。
小林 (はけようとして入り口で思い出したように)あ、そうそう近くで強盗出たらしいから気をつけてね。
野村 はっ?あの強盗って?
小林 何か銀行強盗だって。まぁ何も盗ってないし人も殺してないから大丈夫でしょ?
野村 いや、でも
小林 何かねー、明らかに強盗ってわかるほっかむりしてたらしいよ。そんなベタな強盗いまどきいないと思うんだけどね。
野村 他に特長とかないんですか?身長とか体型とか
小林 さぁ、何か人相書きも回ってきてた気がするけど忘れちゃった。ほっかむりが強烈過ぎて。じゃあ、そういうことで。
野村 えっ、あのちょっと!

 小林、さっさとはける。野村、ため息をついて気を取り直して探し出す。

野村 これっ!(ダンボール箱を見つけがさごそと漁りだす。……あった!良かったぁ。

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