羽根の記憶

(はねのきおく)
初演日:0/0 作者:秋元ゆうすけ
   題名:羽根の記憶
   作者:秋元ゆうすけ
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『羽根の記憶』


登場人物

セイル
  マリノート王国の皇太子殿下。
  幼いうちに母親を亡くしている。
  周囲の人間に頼りすぎる所がある。

サラ
  翼を持つ者、翼人の生き残り。
  戦博打の剣士として見世物小屋に入れられていた。
  羽根を隠す為に籠を背負って逃げ出す。

ダン
  マリノート王国の宰相閣下(さいしょうかっか)。
  セイルの世話役でもある。
  かつてはマリノート軍の隊長としても活躍していた。

ノルト
  マリノート王国の国王陛下。国民からの信頼は厚い。

ロール
  マリノート王国のメイド。
  本編では、アイキャッチ、朗読者として登場。

男1,2 兵士たち
  仕事のシーンやお祝いシーン、戦闘シーンに登場。
  少しの登場になるので、人数や時間の関係で省く事も可能かと思います。


舞台
舞台は前後で区切り、前方をA、後方をBとする。
開演時、舞台Bには幕を降ろしておく。
強制ではありませんが、そういう舞台で作りやすいように書いてあります。
他の形式でも問題なく作れます。
  




本編


1・プロローグ


サラ  遠い昔、今で言う“ヒト”には、様々な種類があった。犬や猫、鳥と同
    じ様に。私は、この世に生きた、最後の翼人、羽根を持つ者だった。今
    から私が話す事、それは人間にとっては極些細な出来事。あなたは
    信じないかもしれない。作り話だと、笑うかもしれない。でも、これは
    確かな記憶。歴史には残らなかった、本当の歴史。あなたたちの歴史。
    そして、私たちの歴史。これは、あなたたち人間が起こした数多くの争
    いの中の一つ、その結末でしかない。


2・市場


    舞台Aにセイルとダンが入ってくる。
    市場を行き交う人達とお辞儀をする。

セイル 結構、いるんだなぁ。市場ってのは面白いもんだ。
ダン  何を言ってるんですか。一昨日だって来たじゃありませんか。
セイル まぁ、そうなんだけどさ。
ダン  はぁぁ…。この街が好きなの分かりますが、あなたに付き合わされる私の気持ちも
    考えて下さいよ。それに、あなたは自分の立場をきちんと分かっておられるのです
    か?あなたはこの国の……

    ダンの話が途中でサラ(籠を背負っている)が入ってきて、セイルとダンの間に
    入り込む。

ダン  ……なんだ? お前は。(腰の刀に手を掛けながら)
サラ  …お金、お金ちょうだい。
ダン  物乞い、か?
サラ  ……。
セイル おいおい、ダン、そう怖い顔をするなよ。君は金が欲しいのか?
サラ  …お恵みを……。
セイル ほら、ダン。金が欲しいだけなんだよ。そう硬くなるな。
ダン  あのですね、お言葉を返すようで申し訳ないのですが、私はあなた様にもし何か
    あったらと……。
セイル はぁ、分かった分かった。もう良いから。で? 君の名前は?
サラ  ……。
セイル 名前は?
サラ  ……サラ。
セイル サラか。君は運が良い。なんてったって、僕に物乞いをしてきたんだからね。
ダン  ……金を、渡すのですか?
セイル あぁ、そうだよ。別に良いじゃないか、少しくらい。
ダン  あげるのは構いませんが、あとあと私に「貸してくれ」なんて言ってきても私は
    知りませんよ。
セイル ……。
サラ  ねぇ、くれるの? くれないの?
セイル ん? 君はお金が欲しいんだよね?
サラ  出来れば。無いなら他の物でも良い。
セイル お金はちょっと難しいんだ、今の会話からも分かるように。その代わり、君には
    もっとすごい物をあげよう。さ、僕に付いておいで。

    セイルはサラの手を引き、出て行く。

ダン  待ってくださいっ、何をするつもりですかっ。

    二人を急いで追いかける。

    舞台Bの幕を開ける。セットはセイルの部屋。
    セイル、ダン、サラが立っている。


3・城


サラ  どうして? 何で……、ココは、何?
セイル 僕の家だよ。
ダン  この方は、偉大なるマリノート王国の、偉大なるノルト国王陛下のご子息、
    セイル皇太子殿下だ。
セイル うん、そう。
サラ  ……そう、って言われても…。
ダン  ほら、困っているではないですか。それに、いくら殿下でも部外者を城に
    入れたりしたら、陛下もお怒りになります。どうするんですか?
セイル 大丈夫だよ、なんとかなるもんさ。ね?
サラ  …ね? って言われても……。
ダン  で? この娘をどうするつもりで連れてきたのです?
セイル ん。ここで暮らしてもらおうと思って。
ダン  ……。
セイル ……。
サラ  ……。(困った様に二人を見回す)
セイル ん? どしたの?
サラ  …どしたの? って聞かれても……。
ダン  殿下っ!!
セイル ん?
ダン  あなた、正気ですか? この娘とは今日初めて出会ったのでしょう?
    そんな身の保証の出来ない者を置いておけるわけがないでしょう。
    何を考えているのですかっ!!
セイル だって、仕方ないだろう。この娘は僕に助けを求めてきたんだ。
    でも、僕にはこの子を助けられるだけの経済的余裕が無かった。
    だからせめて身分と人並みの暮らしをあげようと思って……。
ノルト(声だけ) お〜い、セイルや。入っても良いかな?
ダン  ……うわーっ、どっ、どうするんですか、陛下ですよっ!! 殿下っ!!
サラ  私、隠れる? 隠れた方が良い? どうしよう…。

    サラ、ダン おろおろと慌て、隠れる場所を探して歩き回る。

セイル 父上、おはようございます。

    セイル 勢い良く扉を開けて、ノルトを部屋に入れる。

ノルト ん? 随分可愛い娘を連れ込んでおるな。
セイル えぇ。今さっき市場で知り合ったのです。
ノルト ほう〜、お前にナンパの趣味があったとは知らんかったな。
セイル はっはっは、違いますよ。でもまぁ、否定は出来ないかな。
ノルト ん? 何だ? そんなに硬くなって?
ダン  あの、怒らないのですか?
ノルト ん? 何故ゆえに?
サラ  私、部外者。
ノルト あぁ、なるほど。そういう事ね。
ダン  うんうん。
ノルト 皇太子殿下のセイルが連れて来たんだ、問題は無かろう。むしろ問題なのは……。
ダン  ……ん? なんです?
ノルト お前がいながら、なぜ部外者を入れたか、だな。
ダン  ……うそ。
ノルト 管理不足、厳重注意。
ダン  うそーーっ?!
ノルト で?
セイル はい。この娘を、ここに置いてあげようかと。
サラ  ちょっと待って、駄目だよ、そんなの。
ノルト おぬし、家族は?
サラ  いえ、あの、いません。
ノルト そうか。なら、問題なかろう?
サラ  え?
セイル ありがとうございます。
ノルト そうと決まれば、さあさあ、くつろいで。
サラ  あ、あの……。
セイル そういえば、その籠、降ろそうよ。
サラ  あの、これは…。
ノルト おい、ダン。この娘の籠を降ろしてあげなさい。
ダン  ……はい。
サラ  あの、これは、あっ、待って!!

    ダン サラの籠を取り上げる。隠していた背中の羽根があらわになる。
    サラ うつむき、困る。

セイル ……羽根、だ。
ノルト おぬし、翼人か。
ダン  なっ、何故っ?
セイル 翼人? 父上、このサラの事、知っているのですか?
ノルト まだ、存在していたのか。
サラ  あ、あの……。
ダン  陛下、いかがいたしましょう?
サラ  あの、ごめんなさい、私、やっぱり帰りますからっ!!

    走りかけたサラを、ノルトが腕を掴んで引きとめる。

ノルト 君は、家族は?
サラ  知りません。私、物心ついた時から見世物小屋にいましたから。
ノルト …そうか。
サラ  今日、逃げ出してきたところで、殿下と出会ったんです。
セイル 羽根、すごい。
ノルト いいか、君の一族は、君の種は、もういない。君はここから出たらいけない。
サラ  なぜです?
ノルト 誰かに知れれば、君は異端として扱われる事になる。
セイル そっ、そうだよ。ここにいなきゃ。
サラ  ……私を、化け物扱いしないのですか?
セイル なぜ?
サラ  私はずっと、化け物として扱われてきた。好奇の目で見られてきた。
セイル ……誰もそんな事しないよ、ここではね。
サラ  ありがとう、ありがとう……。(泣き崩れる)
ノルト ダン、この娘に新しい洋服を出してあげなさい。
ダン  はい、わかりました。

    サラ、ダン 部屋を出ていく。

ノルト ……さて、セイル。
セイル はい。
ノルト いいか、よく聞きなさい。翼人は、翼を持つ者は絶滅したのだ。
    もうあの娘が最後の翼人だ。お前が支えになってやりなさい。
セイル はい。
ノルト それと、一つ約束して欲しい。サラを書物庫に近づけてはならない。
セイル なぜです?
ノルト あそこには、国の重要書類や極秘の歴史書などが保管してある。
    ここに住まわせるといっても、サラは部外者には変わらない。分かるな?
セイル はい。わかりました。
ノルト うむ。じゃあ私は行くぞ。仲良くな。
セイル はい。

    サラ 着替えを終えて、戻ってくる。

セイル おぉ、綺麗になったね。

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