こそあど会議
『こそあど会議』

物語と出会うと、時々現れる「伏線と言えば聞こえがいいが、意味のわからない会話の羅列」。これはその究極である。しかもこれはコントである。もちろん伏線は回収などされはしない。
実を持たない話し合い。事態が進展しているのか停滞しているのか、見ている方は誰もわからない。

男1「では、例の会議を始めるとしよう」
男2「例の件はどうなっている」
男3「例の件はつつがなく進んでいる。問題はあれだよ」
男4「あれか。あれは確かに早急に対処しなければならない」
男1「あれの管轄は誰だ」
男3「あれを担っているのは奴だ」
男1「なるほど、奴か」
男4「奴は信用できるのか?」
男2「奴は確かに裏がある。しかし使える駒ではある。奴にはあれをつけている。問題なかろう」
男4「あれか。うまく働けばいいがな」
男1「機能してもらわなければ困る。あれは我々の切り札なのだからな」
男3「ふん、なるほど。あれを奴につけている限り、あれは問題がないということだな」
男2「それはそうと、あの件はどうなっている?」
男1「あの件?あの件とはどの件だ?」
男2「あの件はあの件だ」
男4「なるほど、あの件か」
男2「そうだ、あの件だ」
男3「その件に関しては私の部下が上手くやっている。その件はこの件を片付けてからだ」
紙を配る。
男1「これは……」
男2「あれか」
男3「そうだ、例の彼だ」
男4「例の彼……」
男1「彼は例の彼女に任せるのではなかったか?」
男4「しかし彼女はあの彼女とその彼女、さらにはあの彼と彼との兼ね合いがある」
男3「そろそろ最終段階に入ってもいいと思う」
男1「まさかお前……」
男2「例の計画を」
男3「そうだ、例の計画を発動する」
男1「ふふふ……ははははは!お前、いいのか?あの計画を実行すれば、上が黙ってはおらんよ」
男4「上など所詮はあれに過ぎない。あれをこうすればどうとでもなる」
男2「あれをこうすればな」
全員「はっはっは」
男1「ならば、例のあれはそれか」
男2「それはこうであるから、そうなる」
男3「これこれしかじか」
男4「かくかくうまうまか」
全員「はっはっは」
男2「全てはあれの為に」
全員「はっはっは」
男3「あれとあれをああすればこれとそれがそうなる」
男1「あれをそうすれば、我々は、遂に――」

暗転
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