想ひ出ぼろぼろ
〜雨降って字キャラメル〜
『想ひ出ぼろぼろ〜雨降って字キャラメル〜』

あらすじ

時は、昭和三十三年(一九五八年)。


登場人物

101号室  山田君江(山田荘大家、年齢不詳)女 
                                      
201号室  三浦陵子(文学誌編集者、三十)女 
                                      
202号室  谷本 円(大学生、二十二)男 
                                      
203号室  荒川直美(新聞記者、二十五)女 
                                      
204号室  宮下早苗(水商売、二十七)女 
                                    
      郵便屋     男  
                             
      隣の奥さん   女









山田荘(アパート)の玄関ホールで、一人の新聞記者(直美)が椅子にこしかけている。
手にはピンク色のノートをもち、しげしげと眺めている。
そこへ、郵便屋が手に大きな封筒を持って入ってくる。

郵便屋 「すいませーん」
直美  「はい?」
郵便屋 「(さっきより大きな声で、直美の後ろを横切りながら舞台奥に向かって)すいま    
     せーん」
直美  「はーいー(怒)」
郵便屋 「(ゆっくり振り向いて)うわぁ!」
直美  「さっきからおったやん」
郵便屋 「(平然と)ここに三浦さんっていてはります?」
直美  「無視?」
郵便屋 「いてませんか?」
直美  「三浦?あぁ陵子さんか。ちょっと待って」

直美、階段の方へ向かって叫ぶ。

直美  「陵子さーん。郵便みたいやで」
郵便屋 「みたいやなくて、郵便でーす」
直美  「(郵便屋をにらむ)・・・」

陵子登場。続いて円も登場。直美は手に持ったノートに気付き、慌てて机に置く。

陵子  「郵便?」
郵便屋 「はい。えーと、三浦陵子様方、春目金之助様宛の小包です」
陵子  「あぁ」
郵便屋 「どうぞ(妙にうやうやしく渡す)」
陵子  「(小包を確かめて)確かに。ご苦労さん」
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