リアル

()
初演日:2007/9 作者:玄崎 尭
「リアル」  作  玄崎 尭(げんざき ぎょう)

登場人物
・しょうこ ♀ 中学2年生 転校生
・まき   ♀ 中学2年生 学級委員長
・かずと  ♂ 中学2年生
・えつこ  ♀ 中学2年生
・よしみ  ♀ 中学2年生

・先生   ♀ しょうこ達の担任

・コロス  黒子や影の声 5人

物語の舞台
・栃木県の山の多い田舎にある中学校


    プロローグ

            スポットつく。
            しょうこが手紙を持って立っている。

しょうこ  (手紙を読む)お母さんへ。
        私は今、おばあちゃんちのある栃木県にいます。
        このあたりは山が多くて、夜になると本当に真っ暗です。
        おばあちゃんの話だと、たぬきやいたちや、熊まで出るそうです。
        少しドキドキです。
        おばあちゃんは私にとても優しくしてくれます。
        でもおばあちゃんが私に「お母さんそっくりになってきたね」
        と言うとき、おばあちゃんはいつも寂しそうで、ちょっぴり
        辛そうな顔をするので、見ているこっちもちょっぴり辛くなります。
        …でも!今日からまた新しい環境です。
        私、おばあちゃんちの近くの学校に行くことになりました。
        山ばかりのところなので、先生も生徒もそんなにいないそうです。
        …どんな人達がいるのかな?
        仲良くなれるかな?
        ちょっと、…ううん、本当はとても不安だけど。
        …お母さん、今度は、大丈夫だよね?
        それじゃ、お母さん、いってきます。

            スポット消える。


    1場

            明かりがつく。
            教室。机が5つほど並んでいる。
            えつこ、よしみが席の周りでおしゃべりしていて、
            最も後ろの席にはかずとがほおづえをついて座っている。
            そこへ、まきが入ってくる。

まき       おはよう。

よしみ       あっおはようまき。

えつこ       おはよう。ねえまき、聞いた聞いた?

まき       (バッグを机にかけながら)なに、えつこ?

えつこ       転校生。

まき       えっ。

えつこ       だから、転校生。ここに来るって。

まき       本当?

えつこ       ホントホント。

まき       どこで聞いたの、それ?

えつこ       昨日よしみが聞いたんだって。ね。

よしみ       うん。学校に忘れ物しちゃって取りに来たら、たまたま職員室で
        先生が…。

えつこ       その子と話してたってわけ。で、今日から来るんだって!

まき       そうなんだ。

えつこ       ね。どんな子だろ。よしみは見たんでしょ?

よしみ       うん、女の子だよ。

えつこ       他にどんな子かって、わかる?

よしみ       う〜ん、ちょっと見ただけだから…。

えつこ       だから、背高いとか髪型とか…。

よしみ       え〜、普通だよ。

えつこ       なによ普通って。

よしみ       だから、普通…。

えつこ       だからその普通って、

まき       あんまり、印象的じゃなかったってこと?

よしみ       うん、そうそう、それそれ。

えつこ       それじゃ想像つかないよ。そうだ、顔は?顔。

よしみ       顔…、そうだなあ、なんか、真面目でおとなしそうな感じだったよ。

えつこ       へえ…。

まき       つまり、えつことは正反対ってわけだ。

えつこ       え〜、なにそれ、人をがさつで不真面目みたいに。ひどくない?
        (ポーズを決め)こんな可憐(かれん)な美少女を前にしてさ。

よしみ       (えつこを指し)誰、この人。

まき       さあ?

えつこ       ちょっとぉ!!

かずと       おい、その転校生ってさ、どうせアレだろ。
        「前の学校でいじめられて、んでこんなへんぴな田舎まで泣きながら
        逃げてきました〜」とか、そんなクチだろ。

            と、そこで場が静まり返る。

えつこ       ちょっとかずと!
        うちら別に、アンタには話しかけてないんですけど!!

かずと       知るかよ。聞かれたくないってやつにまでベラベラでかい声で
        しゃべってるからだろ。いやでも聞こえてくるんだよ。

えつこ       それでもアンタには話してないの!

よしみ       やめなよ、えつこ。

かずと       何言ってんだ、立ち聞きした話わざわざ言いふらしてるやつに
        言えたことかよ。

えつこ       なんだとぉ!!

まき       えつこやめな。かずと、アンタが言ったこと、転校生の子の前では
        絶対言うんじゃないよ。

かずと       まあどうせホントのことなんかすぐわかるんだろうけどな。

まき       それとあんたが言うってことは関係ないでしょ!わかった!?

かずと       へえへえ…、わー、いいんちょこえー。

まき       えつこもいいね。

えつこ       え?私が何?

まき       アンタ口が軽いんだから。

えつこ       え、大丈夫よ、私はアイツと違うし。

よしみ       あ、先生来たよ。席ついて。

            と、先生が入ってくる。
            まきが号令をかけ、起立、礼の後着席。

先生       最初に、今日から新しくこのクラスに入ることになった転入生を
        紹介します。入って。

            しょうこが入ってくる。

先生       皆川(みながわ)しょうこさんです。
        皆川さん、みんなにあいさつして。

しょうこ  はじめまして。皆川しょうこです。
        こちらには来たばかりでまだわからないことばかりなので、
        いろいろ教えてください。よろしくお願いします。

えつこ       よろしく!皆川さん!(と拍手)

            先生、まき、よしみも拍手。かずとも適当に拍手。

先生       じゃあ、皆川さんの席は、三ノ輪(みのわ)さんの隣ね。

しょうこ  はい。

            と、しょうこ、まきの隣に座る。

まき       よろしくね。

しょうこ  うん、よろしく。

先生       後は、今日は平常通りの日程ね。では号令。

            まきが号令をかけ、起立、礼の後着席。
            先生、教室から出ていく。
            さっそくえつことよしみがしょうこのもとへ来る。

えつこ       ねえねえ、皆川さんって、どこから来たの?

しょうこ  えっ…、東京から…。

えつこ       すごい、よしみ東京だって、すごくない?

よしみ       すごいねー。

えつこ       そうだよ東京だよ、アンタ東京って言ったらアレだ、
        ……階段が動くんだからね!!

よしみ       すごいねー。

えつこ       だからほら、よしみちょっと歩いてみて。

よしみ       えっ。

えつこ       いいから歩くの。まっすぐ。

よしみ       ? …こう?(とゆっくり歩きだす)

えつこ       ダメ危ない!

よしみ       えっ?

えつこ       ダメだよよしみ、危なく引きずり込まれるところだった。
        アンタ、シュレッダーの紙みたいになってもいいの?

よしみ       えぇっ…。

しょうこ  ……。

            目の前のやりとりを呆然と見ているしょうこ。

まき       お〜い、どっからツッコめばいい〜?
        (しょうこに)あっ、気にしないで。ワケわかんないと思ったら
        流していいから。

しょうこ  は、はぁ…。

まき       えつこ、皆川さんリアクション困ってるよ!
        だいたい、なんでエスカレーター知らないやつがシュレッダー
        知ってんのよ!!

えつこ       …あっ!

まき       今気づいたの?しょうがないなぁ。
        もう、いきなり飛ばし過ぎ。アンタ、自己紹介もまだでしょ。

えつこ       あっ、そうだいっけない!はじめまして、私えつこ!

まき       フルネームで。

えつこ       細かいなぁ、何よ、アンタ私の母親?

まき       アンタみたいな子じゃ勘弁。

しょうこ  ……(少し表情が沈む)。

まき       …あっ、えつこ!

えつこ       え、…あ。あの、皆川さん。…私なんか悪いこと言っちゃった?

しょうこ  …(はっとして)え!う、ううん、なんでもない、大丈夫。

よしみ       ゴメンね。ちょっとテンション高くて見てて疲れちゃう人もいるけど。
        でもすぐ慣れちゃうと思うから。
        私、川野よしみ。よろしくね。

まき       私は三ノ輪まき。よろしく。

えつこ       あっ、ずるいぞよしみにいいんちょーまで。私一番でしょー。

まき       別に一番も二番もない。

えつこ       私、私えつこ。佐渡(さわたり)えつこ!よろしく!!

しょうこ  よ、よろしく…。あの、三ノ輪さん。

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム