茨城湯けむり殺人案内
血塗られた受験戦争 次々に倒れていく受験生の中、母が流した涙
 『茨城湯けむり殺人案内』
〜血塗られた受験戦争、次々と倒れていく受験生のなかで母が流した涙〜



 登場人物

男1
男2
女1
女2
教官
先輩

語り部



 とある大学の合格発表の日。
 二人の男と二人の女が合格者の書かれたボードの前に立っている。
 ボードには布が掛けられており、まだ何が書いてあるかはわからない。
 女たちは適当に会話している。舞台上では男たちのやり取りがフォーカスされる。

男1 俺はさあ、誰かと一緒に合格発表なんて行きたくないんだよ。
男2 何でよ。ともに受験戦争を戦い抜いた中じゃないか。発表が終わったらさ、宝珍楼で飯食おう。
男1 だからさあ、どっちも受かってたらそりゃ一緒に喜べるけどさ、……俺、慰めらんないよ。
男2 何を?
男1 お前が落ちてても。俺、お前が落ちてても大喜びするからね。一応言っておくけど。
男2 お前が落ちてる可能性はないの?
男1 お前だけ受かってる可能性はないだろ。
男2 そんなのわかんねえって。

 話しているうちに、教官なのか、その場を仕切る男が現れる。

教官 はい、受験生の皆さん、今から合格発表を行います。このボードに書かれている数字と、自分の受験票
   に書かれてある受験番号をよくご確認の上、間違いの無いようにお願いします。……それでは、発表で
   す。

 教官、ボードの布をはずす。一同無言。
 ボードには、『これより殺し合いを行い、生き残った一名を合格者とする』と書いてある。

男1 は?
男2 なんだこりゃ。
女1 え? 何これ。どういうこと?
女2 冗談じゃないの?
教官 えー、見てのとおりです。これから受験者同士で殺し合いを行い、生き残った一名を合格者とします。
   皆さん、がんばってください。
男1 ちょっと待ってよ!
男2 本気かよ!
教官 なお、殺し合いの始まりはこれより一分後となります。一分後に笛を吹きますので、それを合図に殺し
   合いをはじめてください。それまではどこで何をしていてもかまいません。制限時間は今日の午後6時
   まで。それまで生き残れた受験生はもう一度ここに戻ってきて入学手続をしてください。
女1 ちょっと、この前やった二次試験はなんだったの?
教官 関係ありませーん。
女2 センター試験も?
教官 全く関係ありませーん。
男1 殺し合いって、あんた……。
教官 質問は受け付けませーん。
男1 ちょ……。
教官 これ以上質問すると殺しまーす。では、皆さん、頑張ってください。散!
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