竹中家の危機
竹中家の危機


キャスト

亮介


強盗


   1

  明るい音楽が流れ、幕が上がっていくとそこにはテーブルがひとつ置いて
  ある。ここは竹中家のリビングである。
  母が現れ、テーブルに皿を並べていく。

母  (下手に向かって呼びかける)そろそろご飯よー!

  母、一度上手にはける。

父  はいはーい!

  父が食事が待ち遠しそうにやってきて着席する。
  続いて亮介がケータイをいじりながら現れる。
  いすに座ってもずっとケータイをいじっている。
  それを見て父が、徐々に亮介に近づきケータイを覗き込もうとする。

亮介 なんだよ。
父  いや、なんかやけに熱心にケータイかまってるから。
亮介 いいだろ、別に。
父  そうか、亮介ももう高校生だもんな。そういう年頃なんだよな。
亮介 父さん!
父  でも、正直、父さんはあまり賛成できないな。
亮介 何でダメなんだよ?
父  ダメってわけじゃないけど……ほら、何も今そういうことしなくても、
   もう少し生活が安定してからの方が良いんじゃないか?
亮介 生活が安定してないのは、父さんのせいだろ。
父  だから、新しい仕事が見つかるまでは待てってことだよ。それからは好
   きなだけやればいい。
亮介 別にいいだろ、そんくらい。そもそも俺のバイト代で払ってるんだし。
父  でも、万が一それで破産でもしたらどうするんだ?
亮介 さすがにそれは無いだろ。
父  分からんぞ。簡単そうに見えてけっこう複雑なんだから、株取引は。
亮介 メールだよ!何で高校生がケータイいじってるのが株取引に結びつくん
   だよ!
父  なんだ。お父さん、てっきり……。
亮介 そんな斬新な勘違いをてっきりの範囲でするなよ!
母  (袖から)ほらほら、何騒いでんの?

  母がメインディッシュらしきものを持って登場。
  それをテーブルに置き、椅子に座る。
  だが、亮介と父は何やら驚いている。

母  (平然を装って)それじゃ、いただきまー……
父  ちょっと待った!
母  (平然を装って)な、何かしら?
父  なにかしら?じゃないだろ。
亮介 なんだよ、これ。
母  モヤシ。
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