Sin-recollection



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登場人物(CAST:3)

リア(天使・♀)
カイ(死神・♂)
コウ(悪魔・♀)




●プロローグ

明転
3人が違う場所に立っている。(照明の当て方等で別空間だと分かるように)

死神 死を司る神、それが死神。人の死に一番近しい存在。誰しも定められた死からは逃れられない。それは死神も同じ事。死神には自分の運命は分からない。死神の運命は天使が知っている。いつ『天命』を迎えるのか。死神には自分の運命は分からない。しかし、人間と悪魔の運命は知っている。だから、死神は死を宣告する。人間に、そして悪魔に。それがどれほど虚しい事か分かっていても、やめることはできない。
悪魔 悪魔……悪の魔性、とは言っても、悪魔に人間の生死を左右する力などはない。ただ天使の命を奪う事が出来る。しかしそれも、不死である天使にも寿命があると言う事に過ぎない。それ以上でもそれ以下でもない。この世界の死は元から定められたものであり、その運命からは人間は元より、天使や悪魔、そして神の名の付く死神でさえも逃れる事は出来ない、ただそれだけのことにすぎないのだ。
天使 天使、それは天の使い。しかし、天使ですら、天とはなんなのか知る者はいない。それでも、この世界は、その天が統べているのだと思う。この世界はまさに神に愛されたような、そんなところなのかもしれない。心までひからびてしまいそうになる暑い夏はなく、凍て付く様な冬の寒さもない。ただ……絶対的な運命が、あった。



暗転
明転
リアがカイと向き合っている。

リア あなたが、死神の「カイ」ですね?
カイ はい。あなたは……天使mですね。つまり、僕は死ぬのですか?
リア そういうことですね。それでは。
カイ (はけようとするリアを引き留めるかんじで)あっさりすぎやしませんか?
リア ……どうしろと言うんですか?(渋々)
カイ ……もう少し言うのにためらう、とか。
リア ……面倒なんで。
カイ 面白い方ですね。あなた名前は?
リア 答える義理はないと思いますが?
カイ それはそうですが、僕の名前は知られているのに、僕があなたの名前を知らないと言うのは不公平でしょう。それに、あなたって呼ぶのもなんだか他人行儀ですし。ね?
リア 他人行儀って……もともと他人だし。何なんだこいつは。まあいいか、減るもんじゃないし。(ボソッと) 私の名前は「リア」。
カイ かわいい名前ですね、リアちゃん。
リア “ちゃん”づけするな!気色悪い!!
カイ かわいいじゃないですか。“ちゃん”づけ。
リア ……。
カイ どうしました?
リア なんかあんたとは性格合わない気がする……。
カイ そうですか?そんなことないと思いますが。それと「カイ」って呼んで下さいね。せっかく名前があるんですから。ね、リア。
リア ハア……。とにかく、カイ、あんたの運命の時は、12月24日。
カイ クリスマスイブですね。
リア それが?
カイ 何怒っているんですか?
リア クリスマスイブなのがそんなに嬉しい?自分が死ぬのに?
カイ 別に嬉しそうに言ったつもりはありませんよ?ただ、クリスマスイブだなぁと思っただけで。
リア あっそう。じゃ、さようなら。

リア、去ろうとする。

カイ ありがとう
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