臥龍戦記
臥龍戦記

  作:橋口征司

★登場人物

 シン将軍  阿呆と呼ばれるほど、人を疑わない純粋な心の持ち主。
 ギサク軍師 知略に長けた軍師。国王の甥。
 ラウ将軍  シン将軍旧知の将軍。温厚な性格。
 メイ副将軍 シン将軍配下の女武将。智勇兼備の副官。シンに忠誠を尽くしている。
 国王    温厚で戦嫌い。病に冒されている。
 キョウ王子 同盟を結んでいる隣国の王子。刺客に狙われるがシンに助けられる。
 カヤ副官  キョウ王子の腹心。天然。
 ユウマ   刺客。シンに助けられ配下となる。飄々とした性格。
 トウヤ   シン将軍配下の兵でラウの甥。平和を願い軍に身を投じている。
 剣兵1
 剣兵2
 剣兵3・暗殺兵1
 剣兵4・暗殺兵2
 剣兵5・暗殺兵3
 伝令兵1
 伝令兵2
 弓兵1・暗殺兵4
 弓兵2・暗殺兵5


★中世ヨーロッパでも、戦国日本でも、古代中国でも、未来のある惑星でも、お好みの時代設定で名前や
 セリフを替えてください。ここでは便宜上、古代の東洋ですが現代口語風の設定で話を進めます。


【1】

  舞台中央は奥に向かって小高くなっており、場面によって玉座になったり丘になったりする。
  上手と下手もそれぞれ小高くなっている。
  真っ暗な舞台にスポット。上手からラウ将軍登場。観客に語りかける。

ラウ   ある時代、ある国を創ったある王の物語……と言うとありきたりかな。あなた達の歴史書に
     何と書かれているか想像もできないが、少なくともわれらの歴史書には末永く残るであろう
     一人の王の話を、ここで披露するとしよう。

  しゃべりながら舞台上を歩き回るラウ。下手側で止まる。

ラウ   このスナミの国、南側は海ばかりだが東から北にかけては大国シダマ国があり、わが国に
     何度も攻め込んできた。北から西にかけてはトウミ国があり、表向きはわが国と同盟を
     結んでいたが、まあそこは戦の世の常。いつ何時…

  舞台明るくなる。上手からシン登場。

シン   大変、大変!ラウ将軍、大変だあ〜!
ラウ   シン将軍、何事ですか。
シン   西の峠に、トウミ国の軍勢が!
ラウ   …トウミ国が攻めて来たと?
シン   じゅうまんにんも。
ラウ   十万人?
シン   しかも、とんでもない化け物が混じってるって。
ラウ   化け物?
シン   なんでも、身の丈は(手で指し示して)こんなに大きく、体中毛むくじゃら。
ラウ   ふむ。
シン   すさまじい怪力で触るものすべてを吹き飛ばし、
ラウ   なんと。
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